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003 助かる者。

どうも、ボンバイエです。

今年も『お年玉』による『お年玉』の所為での散財をしました。

自分の子供や兄弟親戚の子供に配る『お年玉』は年々増加します。

自身の収入も同じ様に増加して欲しいモノです(-。-)y-゜゜゜


フワッと風が僕等の身体を包む様な気がした。

そして、僕の身体を衝撃が襲う。

大きな水飛沫が立ち上がるのをアーニャの肩越しに見えた。


「よし!」


ここまでは、僕の想像通りに現象を起こせたみたいだ。

つまり、僕は死ぬつもりなんか無いし、捕まるつもりは毛頭無い。

ただ、僕はここで死ぬ必要がある。

僕がこの世界で名付けられた名前『ジャック・バウエン』はここで死ぬのだ。

死ぬ事で僕は自由を得る事が出来ると思っている。

だから今回の一連の騒動は渡りに船なのだ。


44年生きた人生経験の中に王族という統治的経験は無いし、わざわざ王様にという制約の多い立場になりたいとは思わない。

100歩譲って、王様になるとしてこの(バウエン)はダメだ。

貴族が軒並み腐っている様子が伺える。

先ほど僕を(いた)()ろうとしたロネクト伯爵を見ても分かる通り、異常な攻撃性を持っている貴族が多くおり、尚且つそれらが主流派である事が終わっている。

また、隣国は大きな国ばかりであり搾取される国である。

一時は公王になるほど勢いがある公国であったはずだが、その気概は既に無いと言って良いだろう。

ダメ押しに、実父と義母の存在だ。

彼等が僕に対して愛情の一つも無い事が分かった時点で、僕は完全にこの(バウエン)を見限った。


その上でどうするか考えた結果、『ならしたい事をしよう。』となった。

そこで情報を集めた。

この世界の基礎知識は王族の教育係によって僕は得ていた。

魔物が(ばっ)()し、魔法がある世界である事は知っていた。

基礎的な剣術や魔術なども教わっており、この世界の基本的知識がある。

本来なら知識を活用する事は10歳では難しいだろうが、44歳まで生きた記憶がある今の僕なら活用できる。


王族の死は一大スキャンダルとなる。

それこそ世界で話題とされるスキャンダルだ。

スキャンダルは国家の威信もしくは王家の威信を失う事もある。

そしてこの世界は統一国家が存在する。

為政者が夢見る世界統一を成した存在が居る世界なのだ。

それにより世界に色々な影響を及ぼした。

統制された人々は同一国家内としてあらゆる分野で統一したルールが適用された。

歴や数字に言語や法律など統一されていった。

それらが統一されたことにより、経済や組織にも影響が出た。

世界中にあるギルドや世界を跨いで活躍する人々の出現を促した。

その影響は、統一国家が滅び沢山の国々が存在する現在にも強い影響を及ぼしている。

その中には地球にある様な国際ネットワークが構築されており、ある種無茶が出来ない様になっている。

ただ、その分口実を与えるとアリが群がる様によってたかってやられてしまう。

だからこそ、王家の威信を貶める様なスキャンダルは隠したいのだ。

それはつまり怪しいと思われても、事実が表に出なければ良いと言える。


城内での病死よりも外での事故死の方が、何かと都合が良いだろう。

死体も必要ないからな。

僕の実母が別の国の人であるからこそ、その介入があっても証拠が無いようにするには、この世界では『魔物に殺された。』あるいは『護送中に不慮の事故で死亡。』が良いのだろう。

だからこそ、この場所が選ばれたハズだ。

それは僕が推測した通りで、この場所に着いた瞬間に頭の中で『ガッツポーズ』をしていた。


さて、ここからどうするのか?

ある程度の水深を保ちつつ下流へと流される必要がある。

死んだと思われる事が大切だから、崖の上に居る奴らに見つかる訳にはいかない。

このまま下流を目指す風の精霊のおかげで酸欠にはならないが、それも無限ではない。

この世界の酸素率がどれあるのか分からないが、その範囲以内で決着をつける必要がある。

僕は水の精霊にお願いして急いで下流へと運んでもらう事にした。



◇◇◇◆◇◇◇



十数分経った頃に水の精霊にお願いして水面に上げて貰う。

周辺を見渡しても今の僕からはあの崖も死竜(デスドラゴン)の滝も見えなかった。

そして辺りに人も見当たらない。

魔物の存在も感じなかったので、僕は水の精霊にお願いして川辺へと運んでもらい、風の精霊にお願いして陸地の木の陰になる場所に僕とアーニャを運んでもらった。


「ありがとう。」


僕は二つの属性の精霊達に対して感謝を口にすると二つの属性の精霊達は微笑んで頷いてくれた後、去って行った。

精霊の協力を得た事で僕とアーニャの服は濡れていない。

その上で死竜(デスドラゴン)の滝からはかなり離れる事が出来た。

風の精霊の協力を得なければ、落ちる力をそぐ事は出来なかく死んでいただろうし、水中で息が出来ずに苦しい想いをした上に服は触れていただろう。

水の精霊の協力を得なければ、水面に叩きつけられ死んでいただろうし、これだけの距離を移動する事は出来なかっただろう。


僕は少し安堵して力を抜き上着のポケットを無意識の内に触っていた。

改めて煙草が無い事を思い出しガックリと肩を落としつつ上着を脱いだ。

そして気絶したままのアーニャを僕の上着を枕にして地面に寝かせた。

気絶しているアーニャの胸が上下に正しく動いているのを確認し僕は腰を下ろした。

ナイフで出来た傷は水中の中で強化魔法を活用して筋肉を膨張させて止血してある。

僕は『ヒール』を利用し傷を治した。


「やっぱ凄いな。」


魔法の効果を実感して声に出してしまった。

独り言は寂しいモノだ。

さて、予想外な連れも出来てしまった。

僕はアーニャを改めて見る。

まさか、アーニャが手を出すというシナリオは当初考えて無かった。

あの馬車で、改めてシナリオに追加し構築し直した。

だから、この先の事までは考えていない。

だが、アーニャが無事に生きていける場所までは連れて行く義務と必要があるだろう。

アーニャだけが僕の生存を知る存在なのだから。

あのまま見殺しにする事も出来なかったし、例え僕があそこで死んでいてもアーニャがあそこで殺されない道理はないし、生きていても良い想いは出来ないだろう。

ロネクト伯爵を見てもあんな感じの人物なら、アーニャは利用されるだけだろうからな。

だから、アーニャを連れてくる事は仕方がない事だ。


だが、ここから抜け出して安全だと思える場所に着いた後はアーニャの好きにさせてやりたい。

彼女(アーニャ)の人生なのだから、彼女(アーニャ)に選択させてあげたいと思う。


僕は持ち物を確認する。

アーニャが強く握っていたナイフが一つと僕が隠し持っていたナイフが一つの計二つ。

金貨や銀貨の入った革袋が一つあるが、街に着くまでは価値は無い。

この世界で最も使われている共通通貨になっている統一貨幣も持ち出した。

僕はいつでも城から追い出されても良いように準備していた貨幣だ。

物心ついた時にはそういう発想をしていた。

自分の事ながら悲しい発想だと思うが、ダウンロードされた後の今となっては、『よくやった!』と自分を褒めたい。

バウエン公国独自の硬貨も存在するが現在は殆ど流通していない上に、国内以外では利用できない。

だからこそ、備えるならば統一貨幣の方が断然良い。

そもそも価値も下がらないし、世界的にみると自国の通貨を利用していても同じ様に統一貨幣も利用している国が殆どだ。

外交に使用する貨幣であり世界規模の組織がありその組織が使用するので当然なのだろう。

たしか、統一国家はジャポネス帝国で統一した人物がリン・M・ジャポネス帝だったと記憶している。

会った事も見た事も無い人だが、手を合わせて感謝しておく。


他には胸にしまっていた地図しかない。

残念ながら、魔法鞄は持っていなかったので色々と持って出る事は出来なかった。

あったとしても、持って出る事が出来たのかと言うと怪しいが、魔法鞄が有るのと無いのとでは大きく違う。

宝飾品関係は足が着くだろうし、そもそも多くない上に敢えて馬車に残してきたので仕方がない。

唯一持ってきた宝石はルビーの様な真っ赤な色をした魔宝石と呼ばれるモノで実母の形見だ。

いつも持ち歩いていたので、無くて普通だろうし、最悪の場合は身分証の代わりにもなるかもしれない。

そして僕は胸元を触ってしまう。

そこにあるハズのモノが無いと理解しているのにだ。


「はぁ~。」


まぁ、無いモノは無いので諦めるしかない。

インストールされた記憶にはバッチリと煙草を吸う瞬間?タイミング?も記憶されてしまっている。

ブンブンと僕は頭を振り改めて考える。

この森を抜ける為には心許ない所持品である事はどうしようもない事実だ。

その事実を踏まえて行動するしかない。

そして、自分が10歳の身体になってしまっている?のだと強く認識して煙草を諦める様に強く自分に言い聞かせた。


そう言えば、ボンバイエってあの有名なプロレスラーが良く使う言葉?からとってます。

その方ももっと有名なプロボクサーの方が使用していたのを利用したとかしないとか。

元々は、コンゴのリンガラ語で「奴をやっちまえ!」を意味する「Boma yeボマ・イェ」が訛ったものとされています。

そこまで、考えてつけた名前では無いんですよ。

好きなスロットが『ア○ト○○猪○のパチスロ機』でよく耳にした言葉だったんです。

そこで、気軽にゲームのアカウントの名前にしたのが切っ掛けです。

今ではこれ以外の名前を使用するのは憚れる様になってしまいました( ̄▽ ̄)

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