025 まだ寒さが残る春。
こんにちは。ボンバイエです。
最近、インフルエンザが流行っているみたいで、新型コロナより猛威を振るっている感じがします。
いつになったら、マスクのいらない日常が戻ってくるのでしょうか?
それとも、そういう日常は戻ってこないのでしょうか?
う~ん。( 一一)
「まったく、馬鹿な奴だったな。あれはロメインとか言ったか?レタス男爵家の。」
「はい。」と頷く取り巻きの一人。
ただ、その者顔にも忌々しさが溢れている。
「平民一人すら連れてくる事も出来ないとはな。何と無能な事か。」
冷たく言い放つターナー・バルバーロ伯爵令息に同意を示す取り巻き達。
当のロメイン・レタス男爵子息はこの場には居ない。
「そうですよ。その上でターナー様に迷惑をお掛けするという愚行。あり得ません。」
事実、ターナー・バルバーロが呼び出してこいと言った事をロメインは風紀委員に訴えており、その事実確認をしに風紀委員がターナーの元へ来ていた。
風紀委員に対して、取り巻き達がその様な事実はないと答え追い返していた。
「それにしても、あの平民は調子にのってますね。ターナー様の呼び出しを無視するとは。」
「ふん。平民だからこそ、その栄誉が分からんのだろう。」
「だから、平民は嫌なのだ。愚かな者が多すぎる。」
取り巻き達の話を聞きターナーは気分が良くなったのか笑顔になっている。
「ふむ。やはり昔の様に貴族のみの学園に戻す必要があるな。」
「そうですよ。ターナー様の言う通りです。」
「その為にも、やはり生徒会長に私が成らねばなるまいな。」
ニヤリと笑うターナーに頷く取り巻き達。
選民意識は何処の世界にもある。
残念ながら人という生き物は他人より自分の方が優れていると思う生き物なのだろう。
◇◇◇◆◇◇◇
「あの。前から思ってたんですけど、茶道部ですよね?」
「そうですけど。何か?」
激しい音と掛け声が響き渡る。
(間違いなく)茶道部員と思われる皆さんが大声を上げて素手の格闘をしてらっしゃる。
激しい息づかい激しい戦闘音が響く中、正座をして茶を飲むという状況なのだ。
始めは偶々なのかと思っていたが、毎回である事から聞いてみたのだ。
この世界の茶道部は地球の茶道部とは違うのだろうか?
「ジャック君。まぁ、良いじゃない。それより、この茶菓子はどう?」
「美味しい。」
「良かった。私が選んだヤツなのよ。」
隣に座るシャナ先輩が喜び笑顔になる。
そのタイミングで声と格闘音が更に激しくなる。
そして、偶にこちらを見る皆さんの視線がより厳しいモノになる。
・・・これ、後でリンチを喰らいませんよね?
「シャナ。あんまり刺激しないのよ。」
「良いじゃないですか~。これも後の肥やしになりますよ~。」
カリアーナ部長は少し困った顔でシャナ先輩を諫めるが、シャナ先輩は不敵な笑いを見せるだけだ。
『後の肥やし』ってなんだろうね?
何となく察せられる所があるけれども。
実際、あの時のムキムキの二人も大声を上げて格闘をしているし、他の人以上に僕を見る視線が厳しい。
部活動にも安息はなさそうだ。
◇◇◇◆◇◇◇
「ジャック君。おはよう。」
「おはよう。」
「どうしたんだい?疲れた顔しているね?」
「いや。安息の地は何処かなってね。」
「安息の地?」と首を傾げるジョージア君。
「いや。まぁちょっと色々あってな。」
「そうか。僕で良ければ何でも相談してくれよ。」
良い笑顔だな。
これは異性なら惚れるだろうな。
ジョージア君とは隣同士という事もあり、この間の出頭命令の事はかいつまんで説明した。
「ありがとう。ジョージア君は良い奴だな。」
「いや。友達なら普通だろ?」
「友達?!」
「あれ?僕なんかでは不足だろうか?」
「そんな事はないよ!」と慌てて否定する。
まさか、友達だと思ってくれているとは思わなかったから驚いただけだと説明した。
「良かったよ。改めてよろしくね。」
「うん。」と僕はジョージア君が差し出した手を握った。
本当にイケメンだよな~。
ジョージア君にはどうかこのまま擦れないで成長して頂きたいモノだ。
「それにしても、寒いね~。」
「本当だよ。春とは言え、まだまだ寒いね。」
偶に吹く北風は冷気を帯びている。
陽射しは暖かくなってはいるが、寒さはなかなか抜けない。
今日は曇りで晴れ間が少ない。
こういう日は布団から出たくないモノだ。
「で、ジャックは体育祭の出場種目は決まったかい?」
「いや。まだ。」
もう来月のイベントの事を考えないといけないとは。
やっぱ、イベント多すぎですよね?
また、冷気を帯びた北風が吹き、身体をブルリと震わす僕とジョージア君の姿がそこにあった。
◇◇◇◆◇◇◇
日本の社会には警察組織の中に公安という部隊が組織されている。
国家における重大事に動くその組織は隠密行動をおこなったり、不穏分子を監視する事などをおこなっている。
現代社会においても過激派組織と呼ばれる団体やテロ組織など国内外からの日本国に対する攻撃を未然に防ぐ事が一番の仕事と言っても差し支えないのではないだろうか?
また、公安は警察内部の人間に対しても容赦がないという。
ある意味で組織の腐敗を防止する役目も追っているのである。
それは何も現代日本だけではなく日本の歴史の中に所々で表に出てくる。
例えば、江戸時代の御庭番やその先駆けとなる隠密や忍者と呼ばれる人々は鎌倉時代には存在していたと言われる。
そもそも国外に目を向けると、中国の歴史には紀元前の秦の始皇帝の時からその存在がちらほら見えてくる。
隠密と呼ばれないにしても情報を収集したり暗殺をおこなうなどする存在が居たと言われている。
現代ではスパイと呼ばれたり、組織によっては特別捜査官と呼ばれたりするようだ、現実問題として秘密裏に情報を集める存在は居るとされている。
それを総じて暗部と呼ばれる組織である。
その暗部はこの世界にも存在し、互いの国を見張りあっている。
このダルメシア王国にも存在している。
奇しくも彼らは【御庭番】と呼ばれていた。
公然と存在する組織なのである。
王直下の彼らは王以外の指揮には決して従うことがない。
王の庭を守る存在であるダルメシア御庭番の中で公に顔を見せている存在は貴族位を拝命している。
「ふむ。そうか。それほど面白い存在が学園に入学したか。」
「はい。」
ファフナー子爵家の現当主アルフレッド・ファフナー。
シャナ・ファフナーの父その人である。
「わかった。彼の出自など調べてみよう。」
「よろしくお願いします。」
シャナは父アルフレッドに頭を下げる。
ファフナー子爵家は普通の貴族家ではない。
親子で会っても、上司部下の関係になってしまうのだ。
緊張した面持ちはいつも学園で見せる様子とはかなり違う。
「シャナ。下がってよい。」
「はっ。では失礼します。」
シャナは部屋を出ようとした。
そこへ父アルフレッドが声をかけた。
「で、お前の好みなのか?」
「アルフレッド様?」
父アルフレッドはアルフレッド様という言葉に苦い顔をする。
「お前の上司としてではない。今は父として聞いている。」
その言葉を聞いたシャナは驚く顔を見せる。
「で、どうなんだ?ただの対象としてだけで見ているのか?」
「父上。私も年頃です。そういう質問には答えれません。ご容赦ください。」
申し訳なさそうに、困ったような、それでいて嬉しいような複雑な様子をシャナは見せる。
それを見た父アルフレッドは苦笑いを浮かべた。
「そうだな。悪かった。だがな、覚えていてほしい。俺はお前をただの娘として育てたかったのだ。今からでも遅くはない。ただの子爵家令嬢に戻る気はないか?後継ぎがいれば良いのだから。」
それを聞いたシャナは首を振る。
「いいえ。そういう訳にはいきません。母上が亡くなった時にお誓いしました通りです。私は、私がやらなければいけないのです。」
父アルフレッドはその決意した娘シャナの顔を見て、説得する事を諦めた。
自分の言う事の方が、この家(ファフナー家)にとっては間違いなのだ。
貴族家はみな王に忠誠を誓う。
それは一緒だ。
しかし、ファフナー家は御庭番を拝命する貴族だ。
つまりファフナー家は絶対的な忠誠を王に求められる存在なのである。
普通の貴族家と一線を画す存在なのだ。
「・・・そうだったな。すまない。」
現ファフナー家のアルフレッド・ファフナーの直系の子供は今は一人しかいない。
それが、シャナ・ファフナーなのである。
シャナは父アルフレッドのその複雑そうな顔を見て嬉しくなる。
自分を心配していると分かるからだ。
そんな優しい父が好きなシャナは笑顔になる。
「父上。ありがとうございます。ですが、私は大丈夫です。後継ぎとして安心してもらえるよう。これからも精進していきます。」
「うむ。期待している。」
父アルフレッドのちょと困った顔にニコリと笑顔を返すシャナ。
シャナは父アルフレッドに頭を下げると部屋を出る。
部屋に戻るために廊下をあるきながら、シャナは「亡くなった母上に誓った通り自分が頑張るのだ。』そう改めて誓った。
もう、私しかいなのだから・・・。
暗部って怖いですよね~。
昔から人間はこういう組織を使って色々情報を集めたり、操作したりしていたそうです。
今の様にネットに沢山の情報が上がっている世界だと、国の管理って大変でしょうね。
これから先、どうなるのでしょうか?




