023 出頭命令に従って。
こんにちわ。ボンバイエです。
雪って綺麗ですよね。
積ると夜でも明るく感じます。
雪まつりがしたくなるのが分かります。
寒いのがツライですけど・・・( ̄▽ ̄)
「はぁ?!何で弁護委員が出張ってくんだ!」
キリヴェル風紀委員は大声を張り上げると同時に顔を真っ赤にする。
これ、激怒っていうやつですよね?
綺麗な顔立ちだと、激怒した顔も綺麗なんだな。
「怒鳴っても、どうにもなりませんよ。」
「なんだと!」とキリヴェル風紀委員はピアーノ弁護委員の胸倉を掴む。
「たく。だから風紀委員はダメなんです。何でも暴力で解決しようとするから。だから、こうして出頭命令が出されたと聞いて、ジャックさんに声を掛けてついて来たんです。早くその手を離してください。」
凄いな。
こうも引き下がらずに言い放つ事が出来るとは。
だが相手が悪いな。
「うるせぇ!」
キリヴェル風紀委員は激怒のまま大声を張り上げて右手を振り抜いた。
バシっと言う音が部屋の中に響く。
「先輩。それはマズいでしょ。」僕はキリヴェル風紀委員の目を覗き込む様に見る。
「ふっ。」キリヴェル風紀委員はニヤリとすると手に入っていた力を抜いた。
僕も受け止めたキリヴェル風紀委員の手を離した。
「お前、風紀委員に興味が無いか?」
「はっ?」突然の申し出に驚く。
隣のピアーノさんも驚いた様子だ。
「あははは。」とキリヴェル風紀委員は笑い出す。
先ほど迄の激おこは何処に?
「すまぬな。お前らの顔が面白くてな。」と笑いながらキリヴェル風紀委員は言う。
「だが、本気だ。風紀委員に入れ。」
「嫌ですよ。」と僕は即答してしまった。
「はぁ?」と眼を鋭くさせるキリヴェル風紀委員は続ける。
「おい、何でだ?」体に力が入りキレる様子が伺える。
「正直、魅力を感じません。面倒事は嫌なんですよ。」
「フッ。知らんとは恐ろしいな。」とニヤリと笑うキリヴェル風紀委員。
「それ、どういう意味ですか?」
「そんな事はどうでも良い。風紀委員会に入れ!」
「嫌ですよ。」
少しの間「風紀委員会に入れ!」「嫌ですよ!」の応酬を繰り返した僕とキリヴェル風紀委員。
それを見守っていたピアーノ弁護委員が疑問を口にした。
「キリヴェル先輩。何故、そこまで彼に拘るんですか?」
「あぁ?そりゃあ、見込みがあるからに決まっているだろう。それに面白そうだからな。」
意味不明な最後の言葉を聞いて僕は何故か面白そうなという方が本音の様な気がした。
『何かある。』という気がしてならない。
そう考えると、茶道部の強引な勧誘もおかしい。
そして今回は風紀委員会だ。
「何なんですか?それ?その為に彼に出頭命令を出したんですか?」
「いや。そういう訳では無い。」
ちょっと、ピアーノ弁護委員の口調が厳しくなっている。
そしてキリヴェル風紀委員は少し押され気味になっている。
これは口ではピアーノ弁護委員の方が勝ちだな。
「こいつが女子生徒と腕を組んで学校中を歩いていたという証言が沢山上がっているのは事実だ。」
「はぁ?いつの時代の話をしているんですか?健全な男子と女子が腕を組んで学校中を歩く事は普通でしょう?」
「いや。まぁ。そうなのか?」
「そうです。」
「俺は組んで歩いた事は無いが、お前(ピアーノ弁護委員)はあるのか?」
その質問をされてピアーノ弁護委員の顔が真っ赤になる。
熟れた林檎の様な色合いは耳まで染まった。
「なっ!私の事は今は関係ないでしょう?私だって・・・無い(ぼそ)。」
最後の方は聞き取れないぐらい小さい声だった。
「そうだろう。そうだろう。」とキリヴェル風紀委員は頷いている。
容姿からしたら、キリヴェル風紀委員もピアーノ弁護委員も彼氏が居てもおかしくはない。
つうか、絶対に近くの男が放っておくはずが無いと思うのだが、現実は違うのか?
「あの、それ少し違いますよ。僕はシャナ先輩に無理矢理引きずられて茶道部に連れて行かれただけですよ?」
「あぁ、そういう事ですか。シャナですか。」と納得顔のピアーノ弁護委員。
「ちっ!」と渋い顔のキリヴェル風紀委員。
これ、キリヴェル風紀委員は分かっていたな。
つうか、シャナさんって結構今までもやってるのかね?
ピアーノ弁護委員の様子からして、結構問題児なのかな?
「ともかく、俺達(風紀委員)としてはその行為の是非を問わねばならんのだ。」
「そうは言いますが、シャナには問いただしたのですか?」とピアーノ弁護委員。
「いや。こういう事は女子には、なぁ?先ずは男の方からとしている。」
「そうですか。で、先ほど説明があった様に違う様ですから、もうよろしいですよね?」
「ぐっ。良いだろう。今回は釈放してやる。」
ちょっと、ちょっと。
釈放ってさ、逮捕された訳じゃないはずだけど?
「じゃあ、帰らせて貰います。」とピアーノ弁護委員は僕に立つ様に促し一緒に立つ。
「ちっ。上手くいかねぇな。」と苦い顔をするキリヴェル風紀委員の横を通り過ぎて部屋を後にする為に振り返ると、キリヴェル風紀委員は顔を僕達の方へ向けニヤリと笑う。
「俺は、お前の風紀委員会入りを諦めねぇぞ。」
「・・・失礼します。」僕とピアーノ弁護委員は挨拶をして部屋を後にした。
◇◇◇◆◇◇◇
「災難だったわね。」
「誰の所為ですか?」
僕は目の前に居る茶道部の先輩を睨む。
この人、絶対に自分会悪いって思ってないよな。
そもそもあれは何かキリヴェル風紀委員の思惑があった難癖の様な気もするけど。
その憐れみの目をやめい!
どうせ、心の中で笑っている癖に!
あの後、ピアーノ弁護委員から可哀想な顔をされ「何かあれば言ってね。」と弁護委員会の場所を教えられて別れた。
そして寮に帰る所で、この目の前の先輩に会ったという訳だ。
こういう事があったんですけど?って感じで話したらこういう憐れみの目で見てくる。
「で、シャナ先輩。何のようですか?」
「えっ?別に用は無いよ?偶然よ。偶然。ぷっ!」
我慢出来てないじゃん!
結局笑ってるじゃん!
「で、本音は?」
「面白そうな事になってる。と思って。」と言った後、思いっ切り笑い出した。
これ、確信犯じゃないの?
「なっ!こうなると思っていてやったんですか?」
「え~。違うよ。そんな事ないよ~。」とシャナさんは目を細めながら笑う。
狐人の特徴があるシャナさんの目が細くなると信じられんわ。
そもそも胡散臭い口調だし。
「それに~、ジャック君もこんな美人に腕組まれて嬉しかったでしょ?」
「はぁ?自分の事を今シレっと美人って言いました?」
「なぁに?本当の事だから仕方ないじゃない?それとも違うって言いたいの?」
「いや。そういう訳じゃないですけど、自分で言います?普通?」
「普通って何?それ美味しいの?」とシャナさんは笑いながら言ってる。
これ、確信犯だし、問題児の発言じゃね?
「まぁ、良いじゃない。問題なく出てこれたんだから。」と言いやがる。
「たしかに。」と返す僕。
それにこの人に言ってもダメな気がする。
余計にイライラするだけだろう。
「でも、ピアーノかぁ。弁護委員会が動くとはなぁ~。」
「何ですか?」
「何でもないわよ~。それより、これからどうする?」
「これから?」
「そうよ。こ・れ・か・ら、何処に行く?」とニッコリと笑うシャナさん。
「はぁ?何処に行くって寮に帰りますけど?」
「え~。健全な男子と女子が出会ったら、デートでしょ?デート。」
「誰と誰がデート何ですか?」
クスリと笑ったシャナさんは目を細めた。
妖しい笑顔だ。
「決まってるじゃない。私とジャック君に。」
「えっ?何で?僕達付き合ってませんよね?つうか、ただの部活の先輩後輩でしか無いですよね?」
「何言ってるの?学園中を腕組んで歩いた男女がカップルじゃなくて何なの?」と言いつつニヤリと笑うシャナさん。
「それ、先輩が無理矢理、引きずっただけじゃないですか?」と抗議するも、聞く人では無かった。
「ふふふ。」と目を細めたシャナさんはまた僕の腕を掴まえた。
「さぁ、ダーリン。今日は何処に連れてってくれるの?」と僕の腕に腕を絡ませて、顔を僕の前に持ってくるシャナさん。
「私、甘いモノが食べたいな~。」と、あざとい仕草をしながら言うシャナさん。
あざといと思っても、やっぱ男は女に弱いのかな?
可愛いと思ってしまうんだよな。
はぁ~。
「分かりましたよ。今日はつき合いますよ。」
「やったー!」と喜ぶシャナさんの笑顔は綺麗だった。
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と、たまにはお願いして見たりします。( ̄ー ̄)ニヤリ




