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015 惑わされる者。

こんにちは。ボンバイエです。

新年明けてから15日経過して、新年祝いも落ち着いてきたこの頃。

新年会はそろそろ終了の時期でしょうか。

ちなみ忘年会に新年会は共に日本の風物詩なのでしょうかね?

出来る限り残って欲しい文化と言えるかもしれません。

「ジャック。ここでお別れだな。」




「はい。本当に色々ありがとうございました。」




この竜車列車での旅では本当にアルベロさん達には世話になった。


あのキックレスの街において一緒に回った街の様子は忘れないと思う。


おススメの食事処は美味しかったので、次にキックレスの街に行く事があれば是非寄りたいと思うし、教えて貰った穴場的な鍛冶屋は安価でありながら質の良いモノが揃っていた。


他の街でも同じ様に色々と教えて貰った情報は宝物だ。




「何しみったれてるの?同じ街に居るんだから、いつでも会えるでしょ?」




僕とアルベロさんの会話にツッコミを入れるエミリさんとその隣で通常運転中のサミュさんがあきれ顔を浮かべる。




「二人は・・・その感じで良いと思います。たぶん・・・。」




慰めになっていない言葉はサミュさんが言った事だ。


自信なさげな様子も通常運転中だからだろう。


この人達との付き合いは竜車列車の中だけだが、とても楽しい時間だった。


楽しい時間だったからか、昔から知っている様なそんな気にさせられる程だ。




「女どもは冷たいよな~。」




「まぁまぁ。ちょっと大げさすぎましたかね?」




「かもな。まぁ、俺らはいつも冒険者ギルドにいるか、請け負って出ているかだからな~。あぁそうだ。ジャック、時間はあるよな?今から一緒に冒険者ギルドに行こうぜ。」




ピンときたのか、一気に暗い顔から明るい顔になるとアルベロさんが僕の肩を掴んだ。


そして後ろに回ると僕を押し始める。




「えっ?何で?」




「俺達の専属ギルド嬢を紹介しとく。そいつに顔を見せれば通じる様にしとこうと思ってな。」




「へぇ。アルベロにしては良い案じゃない。」




「・・・不思議です。」




『おいおい。お前達の俺への評価って。』とブツブツ言いながらも僕を押して進むアルベロさんに抵抗せず身体をゆだねる。




王都ダマスは大きくて広い。


五層からなる大きな壁に囲まれた街で最外エリアはほぼ空き地の様になっている。


人が住む事を認めていないエリアであり、軍が駐留する場所でもあり、防衛用のエリアになっているのだが、街並みが無い分大きく広く見える。




四層目は所謂下町である。


スラム街もこのエリアに属している。


労働者の住居が多く存在しており、貧民街としての側面を持つエリアであり、工場も多く人が働く場所としての認識が高い所だ。




三層目は中町だ。


古くから住まう者達が多く住み、商店街や大店などが多く軒を連ねる場所だ。


商人や兵士など富裕層が住む場所でもある。


ある意味で街の中心でもあり、栄えている場所だ。




二層目は貴族やそれに連なる者達が住みかとしている場所だ。


落ち着いた街並みが特徴で文化的遺産が納められた美術館などもある場所であり、迎賓館も用意されているエリアである。




一層目は王城が設置されている場所であり、王族様に用意された建物や外国の王族を迎えて長期滞在をさせる目的の迎賓館も用意されているエリアとなる。




それぞれの層は高く厚い壁が設置されている上に基本的に衛兵が立っており、厳重な監視体制がひかれているそうだ。




僕達が乗ってきた竜車列車は中町にあるシャルマン商会ダマス支店前まで入る事が許されているそうだ。


シャルマン商会ダマス支店前は通常の出入り口とは別に裏手に駅の様な感じの場所が用意されており、さながら大きな駅の様に国中の列車が止まれる様になっていた。


何台かの竜車列車が止まっていたのだが、壮観だった。




で、シャルマン商会を出てお別れをしていた訳だ。


王都ダマスは僕が思っていた以上に洗礼された様子の街並みだ。


五層からなる街の構造上、もっとこう奥まった感じで古臭いのかと思っていた。


碁の盤面の様に整備された街並みは、綺麗に整頓されている印象を与え、道路を中心として街が造られている印象を与える。


建物も煉瓦(レンガ)を使用しており、統一感のある街の風景は美しい。


ドローンなどを使用して上空から写真を撮ると綺麗な街が一望できるだろう。




この街の冒険者ギルドはシャルマン商会ダマス支店より五区画ほど離れた場所にあった。


冒険者ギルドのイメージは荒れくれ者の集う場所というモノがあるが、外見からはその様な印象は受けない。


明治時代や大正時代・昭和初期に建てられた様な銀行の建物の様に西洋式と呼ばれる建物だ。


壁が白く凛とした佇まいで役所すら連想させるほどお堅い印象を受けた。


僕達四人はそのまま中に入る。




冒険者ギルドは本当に役所の様な感じだ。


違うのはカウンターの向こうは役所程スペースが広く取られていない所だろうか?


何度か他の街の冒険者ギルドに入った事があるが、ここまで洗礼された場所は見ていない。


ズラリと横並びにカウンターが設置されている。


中央に他より大きいサイズのカウンターがあり総合受付という看板がぶら下がっている。


そこを中心に両サイドにあるカウンターでは一度に20組くらいは対応出来るのではないだろうか?




「広いね。」




「まぁね。この国の王都にあるギルドだからね。」とエミリさんが答えてくれた。




ただ、その広さの割に人はまばらだ。


カウンターの所に座って居る職員さんも少ない。




「それにしても静かだね。」




「うん?時間も時間だし、ここは酒場は併設されていないからな。」と周りを見渡しながらアルベロさんが教えてくれる。


たしかに僕がイメージする冒険者ギルド内の風景として酒を飲む冒険者のイメージがある。


酒場が併設されていないからこそ、騒ぐ目的の者達が居ないという事だろうか?




「あれ?アルベロじゃない?帰ってきたの?」




僕がキョロキョロしていると声が掛った。


声の方を見ると一人の女性が立っていた。


肌は白く黒髪で日本人形の様に長い髪を後ろに流している。


腕や足は細くスラッとしており引き締まった身体は鍛えている様子が伺える。


ただ男である僕の眼は胸元に吸い寄せられてしまう。


とても大きい上に胸元が広く開いた服を着ているのだ。


・・・ちょっと大胆過ぎませんか?




「エミリもサミュも元気そうね。」




「ええ。元気にしてたわ。」




「・・・お久しぶりです。」




ニコニコと笑顔で再開を祝う雰囲気。


アルベロさんから聞いた話では王都に戻って来たのは半年ぶりだったか?




「で、この子は?」




と、笑顔ながらも査定している様な感じのする顔で僕を見据える。


アルベロさんが僕の肩を引き寄せて黒髪の女性の前に立つ。




「こいつは、ジャックって言うんだ。王都に戻る為にシャルマン商会の竜車列車に乗ったんだが、その時に同室になってな。仲良くなったからさ。お前に紹介しておこうと思ってな。」




「ジャックです。よろしくお願いいたします。」




「へぇ。シャルマン商会の竜車列車でね・・・私はこの冒険者ギルドでアルベロ達【最高(グレイテスト)灰色髪(グレイヘア)】の専属ギルド嬢をしているアーネットよ。よろしくね。」




「はい。よろしくお願いします。」




「アルベロ。つまり彼との伝言板的役割をして欲しいって事ね。」




「流石、アーネット。分かってるね。」とアルベロさんは笑顔で親指を立てる。




「まぁ、良いわ。ちなみにジャック君は冒険者登録してるわよね?」




「「「えっ?」」」三人の視線が僕を射抜く。




「はい。何で分かったんですか?」




最高(グレイテスト)灰色髪(グレイヘア)】の三人が「マジか?」「言って無かったよね?」とか言っている。


話した覚えはないが聞かれた事も無かったぞ。




「ふふふ。当てずっぽうよ。聞いていた特徴に似てたからそうかなってね。」




アーネットさんは当てずっぽうと言って笑っているが、ちょっと腑に落ちない。


僕は大きな事をやらかしてはいない。


それはよくある『そうですか?』とうキャラの所為でも無い。


つまり目立たぬ様に冒険者活動をしてきた。


ランクもFランクで最低ランクのGの一個上でしかない。


年齢的には少し頑張っている程度だろう。


それに薬草摘みや清掃作業などの簡単なランクのモノしか受けてない。




「えっと。噂話か何かでですか?」




「う~ん。ひ・み・つ。」




「えっ?」




「初対面で私の胸を見ていたバツね。」




「「「「え~!!」」」」




「ちょっと、ちょっと。何で皆が揃って驚くのよ?!」




僕だけでなく、アルベロさん達三人も一緒になって抗議を含んだ驚きを口に出した。


本人に自覚が無いのか、アーネットさんはその反応に納得していない様子で、「なんでよ?!」と言っている。


自分がしている格好が見えていないのだろうか?


あれで見るなって方が無理だと思うんだが・・・。




「とりあえず、アーネットは放っておいて、ジャック君。冒険者だったの?」




「はい。Fランクですけど、冒険者証は持ってます。」




そう言って僕は冒険者ギルド証を取り出すと食い入る様に三人ともがギルド証を見る。


Fランクギルド証は何にも珍しいモノでは無いと思うが・・・って、そういう意味では無いか。




「つうかよ。ジャックなら、もっと上になれてるだろ?」




「そうよね。戦闘している所は見ていないけど身のこなしは上級者のそれよね。」




「はいです。・・・まだ何か隠している?」




いや、隠しているも何も聞かれてないです。


こうして追求の眼差しと言葉は後を絶たず、拘束時間は長くなる一方だった。

どうしても、見てしまうモノってありますよね?

下心が無くても、無意識に目が吸い寄せられるモノが。

美しいモノもそうですが、男性にとっては女性の胸や首筋とかは見てしまうモノではないでしょうか?

人によっては足だったり・・・( ゜Д゜)

下心が全く無くても見てしまう。

逆に視線を外す努力はしますけどね。

本当に下心無くても見てしまうんです。

ある種の感動がそこにはあるのかもしれません。

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