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009 暴かれる者。

こんにちはボンバイエです。

寒い日が続きますが皆さんは大丈夫ですか?

私は鼻水小僧になっています。

鼻の下がヒリヒリしていて痛いです。

あと、乾燥しているから静電気にも悩まされています。

早く、春になりませんかね?


ゆっくりと笑顔で入って来るザバルティさんを部屋にある椅子を勧めて、僕も反対側へ座る。

ザバルティさんは机にペットボトルをポンと置いた。


「どうぞ。」


「ありがとうございます。」


僕は受け取り、蓋を開けて中身を確かめる事もせずに飲んだ。

水は僕の緊張した喉をゆっくりと下っていく。


「そんなに緊張しなくて良いよ。」


「・・・はい。で、お話というのは?」


僕が緊張しているのを悟っているのか、ザバルティさんはクスリと笑い優しい眼差しを僕に向けた。


「そうだね。じゃあ単刀直入に・・・。君は『転生者』だね?」


「・・・はい。」


「うん。で、いつなのかな?」


いつ?とは転生者であると気が付いた時なのだろう。

僕は転生者であると気が付いた時の話とその時の状況を説明した。


「なるほど。それは過酷な体験だったね。つらかっただろうに、よく頑張ったね。」


その言葉を聞いた瞬間に僕の涙腺は崩壊した。

ひたすらに流し続けた涙は水溜まりの様になるかと思う程だった。

僕がその状態の間、ザバルティさんは僕の頭を撫で続けてくれていたのだと思う。

僕が落ち着いた時に頭からそっと手を離したザバルティさんがみえたからだ。


「すいません。」


「いや。それが普通だろう。気にしなくて良い。ギリギリのタイミングと言えるし、その所為でとも言えるね。ただ、どちらにしても君の処遇は厳しいモノだっただろうね。それにしても本当に頑張ったね。」


うんうんと頷きながらザバルティさんは感想を口にした。


「ただ、この件について彼女は知らないのかな?」


「アーニャですか?はい。僕が転生者である事は伝えていません。」


「そうか。伝える事はしないのかい?」


「う~ん。悩む所ですけど、この先もずっと一緒に居るとは限りませんし、少しでもマイナス情報になり得る事は伏せておきたいと思っています。」


『そっか。わかったよ。』とザバルティさんは頷き席を立つ。


「じゃあ、そろそろご飯にしよう。アーニャさんを連れて来てくれるかな?私は下で待っているよ。」


と言って部屋を出て行った。

僕は『ふぅ~』と息を吐いて、アーニャの部屋をノックしてアーニャを連れ出し、ザバルティさんの待つ下の階のダイニングキッチンへと向かった。


ダイニングキッチンへと続く扉を開けると、食べ物の良い匂いが僕の鼻腔をくすぐる。

テーブルを見ると出来立てなのか、湯気が立っている料理が並んでいる。


「好きな場所に座ってくれるかい?」


「「はい。」」


ザバルティさんが手招きして呼んでくれたので、僕達は揃ってザバルティさんの座る場所の反対側へと腰を下ろす。

ザバルティさんがパチンと指を鳴らすと僕等の目の前にそれぞれ取り皿とコップとナイフとフォークとスプーンが出現した。

無詠唱魔法なのだろうか?

僕とアーニャは驚いているとザバルティさんは『ふふふ。』といたずらっ子の様に笑う。


「「?!」」


「ドッキリは成功だね。」


「はい。驚きました。魔法ですか?」


「そう。魔法さ。幻影魔法の方だけどね。パチンと鳴らす事で解ける魔法でね、幻影で見えない様にしていたのさ。」


「もしかして、先ほどもザバルティさんはここにいらしたのですか?」


「そうだよ。我ながら上手く気配を消していただろ?」


そう言いながらザバルティさんはウインクをする。

その様があまりにも似合うので、見惚れそうになる。

僕が女の子なら落ちる自信がある。

古いとは理解しているが『惚れてまうやろ!』と心の中で叫ぶ僕が居る。


「さぁ、冷めないうちに食べてしまおうか。」


「「は、はい!」」


僕とアーニャは同じ様にびくっとして返事を返す。

『あははは。』と笑うザバルティさんにつられて僕等も笑ってしまう。

笑いがある食卓なんていつ以来だろうか?

遠い昔にその記憶があるだけだ。


「こおれ、やあわらおくてぇおぅいしぃうです!」


「アーニャ。とにかく口の中の物を飲み込んでから話しなよ。」


礼儀作法完全無視。

たしかに、美味しいハンバーグではあるけど、そんなに興奮しなくてもと思う。


「ふふふ。ハンバーグは本当に美味しいですよね。子供が好きな食べ物として挙げられるのも分かりますよね。まだ、沢山ありますから遠慮せず食べてくださいね。」


「ふぁい。」


口いっぱいに広がる肉汁に洗礼されたミートソースが絡み合う。

これぞ王道のハンバーグと言えるだろう。

中に入っている玉ねぎもキッチリと下処理されており、玉ねぎの旨味がギュッと詰まっている。

至高の一品と言えるだろう事は僕も認める所だ。

だからさっきから箸が止まらない。

人の事は言えないな。


「では、これも一緒にどうかな?」


「これは?!」


「なあんでぇすあか?」


僕とアーニャの前にトンと置かれたのは白いお皿だった。

その中には、真っ白く輝く白い粒が沢山入っている。

そう。


「お米!!」


僕の頭の中は狂喜乱舞状態だ。

僕がこの世界に来て初めて目にするお米なのである。

特別探していた訳では無いが、有ると嬉しいのがお米だ。

もしかして、ザバルティさんは神様か?!

それとも、僕の生活に出されなかっただけで、この世界にあるモノなのだろうか?

まぁ、今はどっちでも良い。


僕は、ハンバーグを切り分けて口に入れる。

そして、そこにフォークですくったお米も口に入れた。


「う~ん!」


僕は唸ってしまう。

そして愛おしくかみ砕き胃の中へと運ぶ。


「美味い!」


やっぱり日本人にはお米なのだろう。

そう言えば、前世で読んだり観たりした異世界モノと呼ばれるジャンルの主人公たちがお米を探すというのを思い出した。

たぶん、外国に行ってお米を求める日本人も多く居ると聞くが、あれと一緒だろう。

お米が食べたくなるのだ。

そう実感した瞬間だ。


ホクホクっとした舌ざわりにモチモチっとした食感にジワーと広がる甘さ。

これをこの世界で感じる事が出来るとは思わなかった。

パンがあるのだから有ってもおかしくは無いとは思う。

思うのだが、やはり嬉しさが込み上げてくる。


「そんに嬉しかったかい?」


「えっ?あっ、はい!」


僕の頬を見つめニコリと微笑むザバルティさん。

それを見て自分が涙を流していると認識できた。

魂が喜んでいるのだろうか?

僕に前世の記憶が生えたのはつい数日前だから、さほど空いている訳では無いのだが、もしかすると転生した日からの10年の所為なのかもしれない。


異世界転生にロマンを求める人は多いと思う。

僕にもその気持ちがあったのだと思う。

前世の記憶にある転生モノと呼ばれる物語を見た時に感じた感情は、最初は『逃げ』『現実逃避』だと感じた。

だから、最初は見向きもしなかった。

だがその後に、ある転生モノのアニメを見て少年の頃に流行ったRPGゲームを思い出した。

テレビゲームが始まった頃、僕は小学生だった。

友達がやっているのを横で見て欲しくなり両親にねだった。

そして手に入れたゲーム機に対するゲームソフトは小遣いと手伝いで得られるお駄賃を貯めて買った。

僕が初めて手に入れたRPGゲームはその時期王道とされていたドラゴン○○○○Ⅲだった。

勇者が魔王を討伐する冒険に出るというモノで、世代が合う人は良く知っているモノではないだろうか?

ファ○○○ファン○○ーシリーズとドラゴン○○○○シリーズが売れて周知が進んだのだと思う。

他にも女神○○シリーズなど、多種多様な世界観を持ったRPGもあった。

その後、世界規模で発展したのがピ○○ュウを筆頭としたモンスターを使役するポケットモンスターはゲー○○ーイを使用する携帯ゲーム機のRPGへと繋がっていく。

どうやらその前はパソコン用ゲームソフトとしてRPGゲームは存在していた様だ。

その前はテーブルトークRPGというサイコロと紙とペンとトークによって繰り広げるRPGゲームもあった。


とにかく、僕はテレビゲームのドラゴン○○○○Ⅲがスタートだ。

それがRPGとの出会いだ。

その時の感動を思い出し、転生モノを好んで観たり読んだりする事を始めた。

そして、剣や魔法がある世界に自分が立つ事を想像したりした。

その所為で今のこの状況があるのだろうか?

まぁ、そんな事は今更考えても仕方がないか。

お米もあるこの世界で存分に生きて行けば良いだけだ。

それとも、僕には使命とかあるのだろうか?


それよりも、今は目の前にある美味しいご飯をしっかりと堪能しよう。

僕はアーニャに負けない様に食事に集中する事にした。



まぁ、春になっても他の悩みが出てくるんですけどね。

花粉症とか花粉症とか・・・。Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン

年中、鼻水にはマイッテマス(。-`ω-)

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