7話
礼拝堂に集まる人達で悪魔を退治する方法を話し合うが、防御を固め時間を稼ぐことは出来るかもしれないが退治することは非常に難しいだろうという話になり、根本的な解決策が出ないまま時間だけが過ぎていく。
フィンはこのまま自分がここに居れば、エルルゥによってこの場にいる人達が巻き込まれて地獄に送られてしまうのではないか、離れたとしても先ほどの約束してしまったせいでリリアも一緒に連れていかれるのではないかと考えてしまい、この先の事を考えると体から震えが止まらないが勇気を出す。
「神父様このままでは、ここに居る全員が犠牲になります。エルルゥと契約した僕が出て行けば彼女は気を取られるかもしれません。その隙に礼拝堂から逃げてください。」
有効な解決策が思いつかず静かになっていた礼拝堂にフィンの声が響くと、奥で悪魔に対抗する為の準備を進めていたスエイプ神父が静かにフィンの前にまでやって来る。その顔は普段より眉間に皺が寄っており声を出す前から不機嫌なのが分かるほどだ。
「フィン、お前は不真面目だが教会の大事な一員だ。生贄になるようなことは吾輩が許さん。」
覚悟を決め相談したが話にならないと却下され元の位置に戻ると、目から涙が溢れそうになっているリリアに説教をされると周りにいる大人たちが冷やかし、他の人が続いて取り留めのない会話を始め不自然なほど雰囲気が変え、先ほどのフィンの言葉がなかったように振る舞う。
だが、そのいつものような時間は長くは続かず、結界の維持のせいで力を使い果たし倒れる者も出てきている。倒れた人たちを看病し奇跡を祈っていたが、遂に礼拝堂の結界が破られると不機嫌なようで焦ったようなエルルゥが扉を開け中に入ってきた。
「もう、早くしないと台無しになるでしょう。早く行くわよ。」
扉を開けた彼女が自分たちを地獄に連れて行こうと迫ってくるが、スエイプ神父が準備をしていた道具を使い重ねて神への聖句を唱えたことでステンドグラスに光を翳した時のような色とりどりの光が強固な結界としてエルルゥを閉じ込めた。
「この場は吾輩が何とかする。リリア、フィンを連れて逃げろ。」
「もう、また変な壁出して。あっ待ちなさい。」
動けずにいた自分をリリアが手を握って外に駆け出して行く、背中から「絶対地獄に連れて行くんだから」と物騒な声が聞こえてくるがそれよりも、自分が逃げたせいであの場にいた人たちの事を考えると頭の中が真っ白になっていった。