6話
目の前に起きていることを理解したくないと拒否しているためか、呆然と立ち尽くしてしまう。先ほどまで楽観的に考えていてことが目の前で起きている現象で全て否定されてしまった。
通常、魔法は決められた呪文を詠唱をすることで、それに適した事象を引き起こす。しかし、目の前にいる銀髪の少女エルルゥはそれらを一切無視して指を鳴らしただけで目の前の地獄と評した何かを作り出した。
もしかして本当に彼女は悪魔なのか。もしそうなら自分が軽い気持ちでしたことで、一生どころか終わることのない地獄で苦しみ続けるのでは無いかと。いや、どこか見えないところで国に仕えるような魔術師が隠れて魔法を使っているに違いない。きっとあの噂を信じた間抜けに貴族が手の込んだ冗談で悪戯しているのだろうと、勇気を奮い絞り震える声で問いかけた。
「エ、エルルゥ。十分驚いたよ。本当に驚いから、もう冗談だったと言ってくれないか」
「何を言っているの?ああ。この火柱は見た目ほど熱くないから安心して。ほら、早く行くわよ。」
確かに熱気は感じない。だが、その先が地獄なんて冗談じゃない。どうすればいいと考えていたら外の様子がおかしいことに気づいた神父たちが礼拝堂の中から飛び出し叫んだ。
「私たちが時間を稼ぐから、こちらに早く来るんだ。」
神父様が奇跡を行使し、光の壁でエルルゥを閉じ込めた。その中で何か叫んでいるが恐怖のあまり聞き取れず、無視してリリアの手を握り一緒に礼拝堂に逃げ込んだ。
「フィン、何故あれほど高位の悪魔に憑かれている。何をしたんだ。」
スエイプ神父が声を荒げ詰問してきた為、町はずれでの出来事を話したところその場にいる全員が頭を抱え口々に愚痴を吐き出していく。
「悪魔に対して言いたくはないが、神の奇跡のような事が多くの意偶が重なり起こったのだろう。まだ礼拝堂の結界が機能しているうちは悪魔は入ってこれない。時間が稼げるうちに何か打開策を見つけねばならいぞ。」
スエイプ神父の発言によりフィンは、現状が極めて深刻な事態であまり時間が残されていない事を実感した。