5話
町の外れから教会へと帰ったフィンは礼拝堂でお祈りをするまでの休憩時間でリリア話していた。話をしていくうちに、夕方の出来事についてのことが話題となり、話を聞いたリリアは少し呆れた表情を浮かべながら話した。
「フィンったら相変わらず子供っぽいわね。」
もしかしたらと少しだけ期待していたがことを見抜かれている。空腹で魔が差したとはいえ、小さな子供のようなことをしていたと自覚すると少し恥ずかしくなってきた。どうにか暇だったのだから時間潰しをしたという事にできないかと抵抗をしてみた。
「時間が余ってたからね。リリアも暇なときに、いつもと違うことをする時ぐらいあるだろう?」
「ふふ、そうね。でも、そんな危ないことはしないわ。もし魔法陣から何か出てきたら困るもの。」
「あの魔法陣から何か出てくるなら、町中はでてきた何かで埋め尽くされてるよ。」
そんな話をしているうち、お祈りの時間のが来たようだ。礼拝堂へ向かおうとリリアと一緒に通路を歩いていると、透き通るような声で呼び止められた。
「ようやく見つけた。教会が邪魔で気配が追えなかったせいで苦労したんだからさっさと行くわよ。」
視線を向けると銀色の髪に青い瞳の絵に描いたような少女がこちらに向かって不機嫌そうな顔をして立っていた。美人であり、お姫様が着るような黒いドレスを着てるせいもあって威圧感がある。
ただ自分にはこの少女のような知り合いなどおらず、考え込んでいたところ自分が見惚れていると勘違いをしたリリアがフィンの前に出て少し不機嫌そうに言い返した。
「人違いではありませんか?あなたみたいな人の知り合いなんてフィンにはいませんよ。」
リリアの声を聞いた銀髪の少女が飽きれた顔をして言う。
「勉強不足ね。悪魔が自分の契約者を見間違えるわけないでしょ。」
今、この少女は何と言ったのだろう。自分の契約者?悪魔?教会で見習いをしている自分が悪魔と契約するような事など何も心当たりなんて無い。そんなことを思っていたら顔に出ていたのだろう、自分のことが悪魔であると言った少女がまた不機嫌そうに話した。
「ついさっき町はずれで契約したじゃない。忘れたと言わせないわよ。」
「あんな子供の落書きで悪魔と契約なんてできるわけないだろ。」
「ええ確かにそうよ。偶然声を聞いた私が書き換えて契約できるものにしたのよ。」
よくわからない事を言い、誇らしげに胸を張るせいで強調されている。何がとは言わないが。
正直、どう考えても悪魔なんて呼び出せるような高度な魔法陣ではなく、少女が突拍子も無いことを言っているだけと考えると、冷静になってきた。ただ、どこかの貴族の少女が悪戯をしているだけだと。
リリアに目で視線を送ると、溜息で返された。さすが付き合いが長いだけ意図を察してくれたようだ。男1人では万が一何を言われるか分からないが、女性と一緒でさらに教会に所属している人間を悪戯で罪に問うことなどしないだろうと思い彼女の行先を聞くこととした。
「分かった君の言うとおりにするよ。契約したのは僕だけど、一人は不味いから彼女も連れて行っていいかい。後、契約したんだから名前を教えてもらってもいいかな。僕はフィン。彼女は」
「リリアです。」
そのことを聞いた銀髪の少女が満面の笑みを浮かべた。
「そうね私の名前はエルルゥ。契約したのはフィンだけだけどあなたも特別に名前で呼んで良いわ。早く行きましょう。」
そう言った彼女が指を鳴らすと、夜であるのにさらに辺りが黒くなったと思いきや、突然地面から炎が噴き出しその周辺だけを照らす不思議な光景となった。その光景を作り出した彼女は先ほどから浮かべる満面の笑みで言う。
「たくさん準備したんだから、さっさと地獄に行くわよ。」