第2話 天女照覧
衝撃のニュースは全世界を駆け巡った。かぐやの名は国内だけのものではない。世界でもその才媛を認められている。結婚相手の条件を公開するとした8月1日12時00分、公式サイトはパンク寸前までアクセスがされていた。そこで出た情報は一気に世界を駆け巡った。
一つ、かぐやを愛していること。
二つ、その愛を形で示すこと。尚、単なる金や権力は選外である。
三つ、一度選ばれた場合、拒否は認めない。
ただそれだけのことである。程度の差はあれど言ってみればそこかしこで聞かれる言葉である。だがそれをかぐやが言ったということが事の大変さを示していた。世界中に存在を認知され、仕事にしているということは金に困るようなことはない。権力も同様に彼女の美貌ではそれほど意味をなさない。今西施とすら言われた美貌を持つ彼女であれば一国の宰相を手玉にとることなど苦労はない。噂ではあるがどこぞの国家の紛争を笑顔一つで止めたという話すらまことしやかにささやかれる始末である。
そんな彼女に結婚を申し込む、そしてその愛を形で示さなければいけない。しかも認めさせなければいけない。だが、補って余りあるだけの価値がかぐやの夫という立場にはある。当然彼女の元には応募が殺到する。その数二億とも三億とも言われているが正確な数は定かではない。とにかく星の数ほどの応募があり、30に及んだともいわれる選考を突破したのは5人であった。
輝く才能、美神に愛された相貌、底なしの性、努力の極致、生まれながらの成功者。かくして役者は揃った。
最終選考に選ばれたのは有名無名関係ない五人の異常者たち。
異常者の寵愛を欲する異常者たちに課される運命に全世界が刮目していた。