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キミと1フレームの世界 2nd season  作者: トラヤラノ
3/5

13フレーム目 『夕焼けと雪と』

「図書館、臨時で休館日だったと思う」


 コノミから連絡が来るまで、ユウはすっかり忘れていた。今日、彼女に勉強を教える予定だったのだ。

「じゃあシマダで」

 ユウはひとまずレスすると、急いで着替えて、一通りの参考書をバッグに放り込んだ。


 なんとか予定の時間に駅前のロータリーまでたどり着いたが、

「おそいねーおそいねー」

 バッグをかけてバス停のベンチに座っていたコノミ、立ち上がると、わざとねちっこい声色でユウに近づく。

「嘘、間に合わなかった?」

「レスがないぞ~」

 と、彼女はスマートフォンの画面を見せた。ユウはずっと走っていたので、画面を開く暇がなかったのだ。

「悪い、先店に入ろう」


 『シマダ』とは駅の西口にある喫茶店だ。最近全面禁煙になったので、最近はここで集合することが増えた。雑居ビルの三階を階段で上がる。

 木の扉を開け、店内に入ると、広い窓から光が差し込む。

 窓際の席からは、町の西が一望できる。そして、今日は運よく窓際に座れた。すでに西日が眩しい。

「竹代君、また寝ぐせ」

「急いだんだ」

「ははーん。でもいいよ、来てくれたし」

「あっ」

 ユウは少し声を上げる。夕暮れと呼ぶには早いが、すでに空は黄色がかっている。

 そこにちらちらと舞うもの。

「おー、ラッキーだったね」

 このみが嬉しそうに窓の外を見る。


「狐の嫁入りの雪バージョン。久しぶりに見たよ」


 ユウたちはしばし窓の景色に見とれる。


 コノミ、自分のバッグの中を一瞥した。すると眉をハの字にさせる。

「あっ」


「ごめん、竹代君」


 神妙なコノミだ。


「ノート忘れちゃった」

 

 コノミはなんとも情けないような申し訳ないような表情をする。

 ユウは、仕方ない、という雰囲気で、


「ひとまず落ち着いて、コーヒーを頼もうよ」

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