間章「インサート」
そんな風に、そんな感じで、そんなわけで、そんなところで、そんなこんなで、僕がこの『那頭奈学園』に入学してから約七ヶ月が経ったわけだが、ことこの一ヶ月は色々あった気がする。
自警委員に呼び出され、生徒会長とお近づきになって、時計塔が消えて、すだれと映画を見に行って。一ヶ月でこなすには極めて濃すぎる「出来事」の数々が、四週間分の日付と共に僕の脳に刻まれている。
しかしそれでも僕が少なからず恵まれていたと言えるのは、これらがすべて「出来事」と表現されるようなイベントだったからだ。
もちろん、自警委員の委員会室でのアレコレは危険極まりないことではあった。だが僕は実際に傷ついたわけではないし、あれ以外にこうむった害もない。時々思い出して気分がダウナーになるくらいなのである。
時計塔が消えたことについても、僕の中では結構ショックなことではあったが、それはそれだけで完結していることであり、それ以上は何もなかった。僕が廊下を駆けずり回っていたことに関しても、幸いにして目撃者はほとんどおらず、今のところ変な噂もたっていない。内伸点に響くことも(恐らく)ないだろう。
すだれとの関係も相変わらず。この前の独白なんてまるでなかったかのように、僕に話しかけてきては、ややこしいことをつらつらと口上に並べるだけである。
もしかしたらこれは後から振り返るからこそそう思えるだけのことで、その時はその時で自分の身上を心から憂慮していたのかもしれないが、でも、これらはすべて通過すればそれだけで終わる、それぞれただの一つの「出来事」でしかなかった。
――掛け値なしに、誰の口をもってしても、主観的にも客観的にも「事件」と呼ばれるようなことが起こったのは、この後のことなのである。




