潜入と突入
キルンの街をでて歩いていた時だった、お互いあまり会話をせずにいた時にミラがふと話しかけてきた
「ドランという人物のところに着く前に...」
「ん?どうしたミラ」
「''シャドー''」
ミラが魔法を唱えるとさっきまでいたはずのミラの姿が見えない
「おーいミラ??」
「私は...ここにいますよ...」
声のした方を向くが誰もいない
「ここです...下を見てください...」
言われた通りに見てみると自分の影がある...だか少しおかしい、自分の影がまるで女の子の形なのだ
「もしかしてそこにいるのか?」
「はい...影にいますよ...」
「確認のため聞いておくがこの前過去を見せられたときもその魔法を使っていたのか?」
「はい...私は補助の魔法が得意なので...戦闘は苦手なのです...」
言われてみればそうだった、もしミラが攻撃系の魔法が得意ならクエネの城に行った時に何かしら手をうっていたはずだ、だが結果としてはただ逃げるだけだった、それに過去を見せられた時にも声だけ聞こえたのが不思議だったので理由がわかりすこしほっとしている
「俺を囮に使っていたとか?」
「貴方は強い...だから大丈夫...」
褒められると弱いタイプなのだ
俺が何も言い返せないでいると
「死んだら生き返れないけど...私は補助魔法が得意..回復できる...」
「いざとなったら頼んだぜ」
俺はミラの''死んだら生き返れない''という言葉を聞いて今はこの世界が現実だということを改めて実感した────
◇
「ドランいますか」
俺はキルンの街から少し離れた洞窟に来ていた、ここには俺の師匠でありクエネの部下でもあるドランという龍人がいる
「よお、レオじゃねぇか!この前俺に勝ったからもう来ないと思ったぜ」
「あの時はまぐれですよ...それに剣を払えただけですし」
ミラにクエネの様子がおかしいと聞かされ城に帰ってほしいと頼まれた時に俺はドランに城に帰ることを伝えるためにここを訪れていた、その際にドランと一戦交え見事に剣を払うまで成長したのであった、もしかしたら新しい相棒''クラウフィング''のお陰なのかもしれない
「それでなんだ?深刻そうな顔して」
「実はクエネが────」
俺はここまでにあった、ありとあらゆることをドランに打ち明けた
「なんだと!?それは一大事じゃないか!!クエネ様の身にそんなことが起きているにも関わらず気づくこともできなかったなんて..部下失格だ...」
「すまない、俺も気づくことが出来なかった」
「貴方達のせいではないわ...」
唐突に声が聞こえた
「お前は誰だ!!」
いきなり現れたミラに対してドランは警戒心をむき出しにして戦闘態勢に入った
「私はミラ...クエネを助けたい...」
「落ち着いてくださいドランこの人は大丈夫です」
俺はなんとかドランに戦闘態勢を解いてもらうよう説得する
「お前がそういうのなら大丈夫なのだろう」
最初はレオもここまで信頼されてなかったのにこうもあっさり信じられると嬉しい
「それでクエネ様を助けるとは?どうやるんだ」
「俺がミラの魔法でクエネの意識に入ります、しかしその魔法を唱えるのには時間がかかるのでドランに時間稼ぎをしてもらいたい」
「なるほど時間稼ぎな...いいだろう、クエネ様のためだ」
こういうとき話が早くて助かる
「貴方も信頼できる...クエネを助けるために頑張りましょう...」
そういうミラも先程より自信に満ち溢れた表情をしていた
「まずは城に行くわ...準備はいい...?」
「俺は大丈夫だ、ドランは?」
「ちょっとまて」
そういうとドランは洞窟の奥に行ってしまった、俺とミラが首をかしげていると
「おお!あったあったこれだ」
奥から大きな声が聞こえてきた
「お前にこれを渡しておく」
ドランから受け取ったものを見てみるとまるで桜のような形をした髪飾りがあった
「これは....?」
「それはクエネ様がキル様からもらった髪飾りだ、昔クエネ様が無くされて大変悲しんでいたからな、この前会ったときに返しそびれてしまったので返しておいてくれ」
俺はドランから受け取った髪飾りをポケットに入れミラと目を合わせた
「それじゃあ...行くよ...?」
「''ジャンプ''」
俺たちは白い光に包まれた────
◇
再び目を開けるとそこは見慣れた城が立っているはずだった
「さっきと様子が違うぞ...?」
俺はある違和感に気づいた、城壁には茨のようなものが巻き付き、城の空には黒い雲が立ち込めているさらに門には先程までいなかった二人組が戻ってきている
「なんだここは...俺が知ってる城じゃねぇぞ」
「これは...すごい臭気...」
ドランとミラも驚きを隠せない様子で門の隙間から城を眺めていた、俺は二人に囁きかける
「いいか?とりあえずあの門番の二人組をどうにかしないといけない」
「わかったぞ、なら俺とレオが行けば大丈夫だろう」
「だが接近する前に気づかれたら終わりだ」
「気づかれなくするようにならできる...」
「「本当か!!」」
二人とも門番に聞こえないくらいの歓喜の声をあげた
「ただ時間制限がある...この魔法は十秒しか持たないわよ...」
「「十秒もあれば十分だ(ぜ)」」
「そう...なら頼んだわ...」
そういってミラは二人に手を差し出し魔法を唱えた
「''ハイド''」
「おお!凄い!」
先程までドランがいた所を見てみると見事に見えなくなっている
「時間が無い...早く行ってきて...」
「あ、ああ悪い」
そう言って俺は門番めがけて走り出した、ドランとの話し合いの中で俺は右側担当になっていた、透明になっているので気づかれるわけもなく簡単に背後をとることができた
「すまないな」
目の前で門番が崩れ落ちる、前方を確認するとそちらも同様仕事は終わっていた
「十秒も要らなかったな...?」
...?今、目の前を''何か''が通った気がする...気のせいか...?
俺は元いた場所に戻るとちょうど魔法が解けたみたいだ、再びドランの姿も見える
「お疲れ様...」
「あんなの朝飯前だ」
俺は労いの言葉をかけてくるミラに向かってVサインをした
「早く行くぞ!クエネ様をお助けしなくては」
「ああ、とりあえず門番は倒したしあとは城に潜入してクエネの所にいくだけだな」
「早く行こ...?」
レオとミラとドランの三人組はクエネのもと目指して城内に潜入した────
◆
「まただ...」
目を閉じるといつも何かが見えて、実際に見ているような感覚になる
「このひとたちはだれ...?」
今見えるのは ローブを羽織った魔法使いみたいな少女とたくましい龍みたいな人と背中の鞘に剣を携えた男の姿だ
「このおとこのひと...」
どこか見覚えがある、先程光の中にいた人物だ意識を男に近づけてみる────
「!?」
急に身体を吸い込まれるような感覚に陥った
「いまのはなに...?」
気がつくと少女は再び暗闇の中にいた────
ドランと合流し、ミラの魔法にてクエネを救うために城への帰還を果たしたレオだった、見事門番を倒しいざクエネの元へ...!というかんじで今回は終わってます!次の話も、もう出来上がっているので翌日に投稿いたします!是非ご覧くださいませm(_ _)m