少年と少女
「暇。」
まるで独り言のように少女が呟く
「え、何?」
俺は聞かなかったことにする。
「だから!!暇なの!!なんとかしなさいよ!!!」
今度ははっきり聞こえるように言ってきた
「いきなりそんな事言われても困る...」
こいつはわがままなやつであり気分屋でもある。言う通りにするのもなんだか癪に障るがここは我慢するしかない
「......」
だが何も思い浮かばない
「はーやーくー」
少女は少し苛立ったように催促を始めた
「それなら街にでも行ってきたら?」
少女の隣にいる耳の長い女性が提案する
「おい、余計なことは言わないでくれ」
こいつのわがままに付き合っている暇はないんだ
「街ね... まぁ暇つぶしにはなるだろうし...よし!行くわよレオ」
こうなることは分かっていたが今日という今日は思い知らせてやる、なんでも思い通りになると思うなよ!
「いや、俺にも用事があ....」
ここまで言った時に俺の顔の横を赤く光る物体が通り抜けた
「何か言った?」
少女はニッコリと笑ってこちらを見てくる
―――こいつの目はマジだこのままでは殺られる
「イイエナニモイッテマセン」
結局俺はこいつの言いなりになるしか無かった
「よし!じゃあ行こうか!」
と、嬉しそうに言いながら俺の手を引っ張る少女を見て、まぁ今回だけは...とか思ってしまっている自分はまだまだ甘いということを自覚してはいなかった────
◇
「はぁー今日も疲れた」
午前と午後は高校で面白くもない授業を受けて高校が終わってからバイトをするという決まった毎日に疲れていた俺'' 柊怜緒''は家に帰るなり自室のベッドに寝転がっていた
―――あー明日の宿題やってないや、まぁいいか
「れおー風呂に入りなさいー」
下の階から俺を呼ぶ母さんの声がする
「後で入るからー」
疲れていた俺は話を適当に流した
―――あれ?急に眠気が...
強烈な睡魔に襲われ意識がなくなった
これが異世界への一歩になろうとはつゆ知らずに
「貴方を私の部下にするわ!」
―――あれここはどこだ?
目を覚ますとそこは知らない広い部屋だった
「いきなりでびっくりしたでしょう?」
―――確か家に帰ってそのまま寝ちゃって....
「何か言いなさいよ」
ここである可能性に気がついた
―――あ!夢かそうだ夢に違いない!
「ねぇ!聞いてる??」
―――この美少女も豪華な部屋も夢の一部だ!
「話を聞けぇぇぇえ!」
少女の話を無視していたからだろうか、怒った顔で拳を振り上げてきた
―――殴られた....痛いなー...あれ?夢なのに痛い?
何かおかしいと思い自分の頬をつまんでみる...痛いな
これは夢じゃない...となるとこの少女も本物というわけだ、よく見てみると可愛い座敷童子にも見える、だが髪がおかっぱではなくショートカットだというところが少しイメージとは違うが...などとここまで本の数秒で考察できてしまう自分が少し怖かった
「え、えーとやっぱり夢じゃないんですね...?」
夢じゃないと分かってはいるものの、納得ができない
どうして俺はこんな所にいるのだろう
「夢じゃないわよ、私が貴方を呼んだの」
''私が''呼んだ?何のことなのだろうか
「ここはどこ....なんですか?」
見たところ王室か何かだろう、目の前の少女が座っているところは見たところ玉座みたいだし...
「ここは''私''の城の最上階にある''私''の部屋よ!!」
...は?何を言っているんだこの子は、''私の城''って言ったか?確かにここは王室みたいだがこの少女の部屋だって?
「貴方には私の手伝いをしてもらいたいの」
「いきなりこんな所に呼んで大した説明もなく、お前の手伝いをしろだって...?丁重にお断りさせていただきます」
「そ、それは...確かに説明が足りないとは思うけど...と、とにかく!言う通りにしないと燃やすわよ!!」
燃やす...?どうやらこの少女は厨二病らしい....帰るか...うん
―――これに関わってはいけない
「そう言われましても...ごめんなさい帰らせていただきます」
そう言って俺は立ち上がろうとした...
「''フリーズ''」
目の前の少女が何か呟いた瞬間俺は身動き一つとれない状態になっていた
「お、お前何をした!?」
いきなり身体が動かなくなるものなのでちょっとしたパニックに陥っていた
「貴方には私の手伝いをしてもらうの、嫌だと言ったら灰にするNOと言っても灰にするいいわね?」
さっきまでのやんわりとした雰囲気はなく少女は冷徹な目を向けてきた断れば本当に灰にされるそんな感じがした。
「わ、分かったから!お前の手伝いをするから!」
俺はしぶしぶ了承した、そうするしか方法がないからだ、まだ死にたくはない
―――せめて身体が動けば一瞬の隙をみて逃げられそうなのに
「そう.....」
パチン、少女は指を鳴らした、すると嘘みたいに
体が動くようになった!これをまっていましたとばかりに扉めがけて全力で走り出した
「前言撤回!!!俺を縛るものは何も無い!!」
しかし扉は開くわけもなく俺は顔面から思いっきり衝突した、はっきり言って自業自得だった...
「貴方は今から私の部下よ!私のために働きなさい!」
もうどうにでもなれ...痛みで目の前が真っ白になった
初めて掲載させてもらいました
見てくれると嬉しいです。
''私''の名前がまだ出てきてないのですが次回からでてきますm(_ _)m