第5話 恋愛とは、
〜なんとなくわかるかもしれない前回までのあらすじ〜
1
本作主人公:テルマ<転生しちゃった工エエェェ(´д`)ェェエエ工
おまけに、乙女ゲームかよΣ(゜д゜;)ドヒャー
2
テルマ(´・ω・`)<それっぽいの結構いるなぁ
3
テルマ(`・ω・´)<幼馴染は大天使のレギーナと魔王なメルヒオールがいるんだ!
4
テルマ(´・ω・`)<なんか変なのばっかり見るなー
イケメンは私のもの☆ミ>ヘ(゜∀゜ヘ)アヒャ ゲーム主人公:リリト嬢
乙女ゲームの世界とは知っているが、存外ここの世界の恋愛事情とやらは奥ゆかしいと思う。遠くからもじもじと、我らが幼馴染であるメルヒオールを見つめるお嬢さんは、おそらく奴を恋い慕っているんじゃないかな。メルヒオール? レギーナを全力で見詰めるのに忙しいんだよ。
そもそも学院に来るのは、そこそこ以上に裕福な商人や豪農・貴族階級か、奨学金制度を利用しての超優秀な人か、教会が後見として選ばれた人だから、学業が優先される。建前上は『学徒に貧賎はない』って言ってるけど、貴族相手に無礼講を働く人はいないし、婚約者のいる人物にアプローチは掛けない。暗黙のルールってヤツ。宗教的に一夫一妻が決められているから、貴族でさえ側室がいないみたいだし。
まあ、何が言いたいかってーとー…………。
アタシ、今、リリト嬢の後側にいるの。
この一方的な接触率は何なんだろうね? 肉食系KY女子リリト嬢の獲物は__黒髪金眼の垂れ目系美形だー! 美形率の高いこの国でも上の中から上の上までに食い込める美貌だ。なんたって女の子達の視線がその青年に集まってるんだもん。これは、モテてる(確信)。ぽーっと青年を見詰めていた女の子がリリト嬢を見る眼に殺意が宿っているように見えるのは気のせいだよね? ね?
婚約者いる人物って言っても、大概子爵階級以上の次男次女までで、三男三女以降はフリーな場合が多い。だからこそ、学院で結婚相手を見繕うって人もそれなりにいるみたいだ。アタシもきっと卒業する頃には、親が相手を見繕ってくるんじゃないかな。ま、貴族階級に付き物の義務だから仕方ないよね。それに、干物過ぎて『恋愛しなよ〜』言われても、『めんどいッス』だよ。
話は戻して__リリト嬢は留学生なはずだから、婚約者いそうなのにねぇ。それとも『自由なうちに恋がしたい!』派なのかな? 同年代よりも貴族子女は年上と結婚する場合が多いから仕方ないのかも。それにしても……この間のゼップ氏はどうしたんでしょ。振られたのかな?
あ……………………もしや、この人物がバルタザール氏? そんなことを思い出してたら、リリト嬢が豊満な胸でバルタザール氏の右手を抱き込んだー!! 肉食系を遺憾なく発揮してアタシ可愛いでしょって攻めまくるのを観るのは、嫌じゃない。同性には嫌われそうだけど、見物するには面白いよね。
「すみませんがーー」
「どうしたのバルバル?」
「僕は貧乳派なんで、贅肉どけてくれません?」
「え」
んんんんんんん!? すっげぇ、お断りきたお? こんなに、明け透けに性癖言っちゃうの? え、引く。周りの女の子見てみ。一部が絶対零度の眼差しで睨んでるぅううう。怖い。幾人か勝ち誇っている女の子も、どうなのよ。そして尊敬の眼差しを向けている男子諸君。背後の殺意溢れる女の子たちに気を付けてね。
さすがのリリト嬢も予想外過ぎたのか、呆然としているぅ! これは、『男なのに、おっぱいが好きではない、だと!?』ですか。わかりませんが。
「大体、僕の好みとしては、手の平包んだ時に仄かなやわらかさを手の内で主張し、胸の先が上にツンと向いているのが理想です。貴女など眼中外ないのは理解できましたか?」
「う……はい」
「僕も暇ではないので失礼します」
颯爽と去っていくバルタザール氏。顔いいけど、乙女ゲームのキャラだろうか? 貧乳主義宣言する攻略キャラクター……。あり、ですか? いや、過去騒動で亀甲縛りがあるんだったら、こういうのもありそうではあるよね。公式が病気ってヤツだね!
なんで売れたんだろうね。本当に。
そんな感じで思考を飛ばしていたら、リリト嬢も退散していた。恋に忙しいみたいだから、どっかの美貌の青少年にコンタクトを取ってるんじゃないかな。前世から考えれば、干物通り越して化石になってる、アタシにリリト嬢の思考なんてねぇ。
____よくわからん。
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