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化け猫ミッケと黒い天使 〜エピソード0〜  作者: ひろみ透夏
第2章 ライオン☆ハート

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第2章 05

 

「ねえ、なんで(もえ)がいるの? (もえ)がいるなら、どうして(もえ)の家でやらないの? (もえ)の家のほうが広くてキレイなんだから、(もえ)の家に集まればいいじゃない?」



 美玲(みれい)ちゃんが放課後怪奇クラブに入部してから数日後、早速(さっそく)、緊急ミーティングが開かれることになった。その会場は、なぜか美玲(みれい)ちゃんの家。



「わたしはかまわないんだけど、優斗(ゆうと)くんが(いや)だっていうんだもん。ほら、一度怖い目に会っているから……」


 美玲(みれい)ちゃん()へ向かう道すがら、(もえ)ちゃんが、すぐうしろを歩く優斗(ゆうと)くんをちらりと見つつ、小声で耳打(みみう)ちした。


 (もえ)ちゃんがいつ部員になったのかは、ぼくにもわからない。


 きっと美玲(みれい)ちゃんが、優斗(ゆうと)くんと同じクラブに入ったという情報をどこかから聞きつけて、あわてて自分も入部したんだと思う。


 まったく、()かりのない女の子だ……。



「なら、学校でやればいいじゃない? クラブ活動なんでしょ?」


「放課後怪奇クラブは、オカルトに興味(きょうみ)があるものが(つど)有志(ゆうし)の共同体であって、学校の承認(しょうにん)()たクラブじゃないからね。学校に部室はないんだ」


 一番うしろを、妖怪『()(かべ)』のような巨体(きょたい)()らしながら歩く、チャーシューがこたえた。


「あんた、フツーに標準語しゃべれるじゃない? このまえの関西弁はなんだったの? てか、やっぱりわたしの家に集まるのって、おかしいと思うのよ」


 チャーシューの熱意(ねつい)のこもった暑苦(あつくる)しいお願いと、しおらしく頭を下げる優斗(ゆうと)くんの態度に、つい自分の部屋を提供(ていきょう)することを(ゆる)してしまった美玲(みれい)ちゃんだけど、やっぱり、いきなり男の子を部屋に招待(しょうたい)するのは恥ずかしいのだろう。


 ぼくは美玲(みれい)ちゃんの頭の上から、小さな声で助言(じょげん)をした。


「大丈夫だよ。美玲(みれい)ちゃんの部屋、女の子にしてはこざっぱりしているけど、センスはいいほうだから。ただ部屋に友だちを入れるまえに、なんとかしたほうがいいところもあるよね。(たと)えば、(ほこり)だらけの学習机や漫画だらけの本棚、脱ぎっぱなしのパジャマに、床に散乱(さんらん)した靴下や下着。そして、ベッドの下に押し込まれた、得体(えたい)の知れない、いろいろなもの……」



 美玲(みれい)ちゃんは頭を(かか)えて、その場にしゃがみ込んでしまった。

 ぼくの助言(じょげん)は、逆効果だったみたい。




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