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メガネの探偵、二階堂  作者: 大隅スミヲ
死を呼ぶ魔の踏切

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死を呼ぶ魔の踏切(7)

 タバコが無いことがこんなにも不安に思えるのか。ポケットの中に手を入れた桂川は、タバコのパッケージの中身が空であることを何度も確認していた。同じことの繰り返しを経験しているが、タバコの本数は減っていっていることから、自分の身に起こっていることは現実なのだということがわかる。

「くそ」

 呪詛のような独り言をつぶやく。その呪詛は、自分に対してであり、相手に対してであり、そして自分の置かれた状況に対しての呪詛だった。

 未だ、待ち人は来ていない。そろそろ来てもらわなければ、こちらの世界に精神が取り込まれてしまいそうだった。

 チカチカと点滅を繰り返している電灯を眺めながら、そろそろ時間だということに気づく。これで何度目となるのだろうか。ため息をついた桂川はゆっくりと歩き出した。

 向かう先は決まっていた。例の踏切である。こちらから向かわなくとも、あちらからやって来るのだが、だったら先手を打ってこちらから近づいていってやろうと思ったのだ。


 カンカンカンカン。踏切の警報機が鳴っている。

 少し揺れを感じると、すぐ脇の線路を電車が走り抜けていく。


 またか。

 そう思うと、踏切の遮断機の前に桂川は立っていた。

 遮断器が上がり、大勢の人々が線路を渡っていく。桂川も同じように線路を越えようと歩みを進める。

 どうせ、ここで足が動かなくなるのだ。あの女が足にしがみつくせいで。さあ、いつでも来い。こちらはいつもどおり、火威の準備をしてやろう。

 桂川が踏切の中央に立った時、背後から声をかけられた。どこか聞き覚えのある声。誰だろうか、なんだか懐かしい声だ。桂川はそう思いながら振り返る。


「ユウキっ!」


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