表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メガネの探偵、二階堂  作者: 大隅スミヲ
講堂のバレリーナ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/77

講堂のバレリーナ(5)

 振り返るとそこにはバレリーナの格好をした少女が立っていた。

 先ほどの赤ん坊を抱えた女性とは比べ物にならないほどの邪気が体から放たれている。

「おい、あんたが言っていたのって、こいつのことか?」

 唖然とした表情で男が言う。

「そうみたいだな」

 まさかこんなすごいのがいるとは二階堂も思ってはいなかったらしく、少し声が震えていた。

「祓えるのか?」

「やるしかないだろう」

 二階堂と男はふたりして指で印を組み、真言を唱え始めた。

 しかし、真言を唱えている途中でバレリーナ姿の悪霊がふたりのことをひと睨みすると、まるで衝撃波に襲われたかのように、二階堂も男も吹き飛ばされてしまった。

「レベルが違いすぎる……何なんだよ、こいつ」

 男が鼻血を垂らしながら言う。

「さっきの赤ん坊よりも強い怨念が、あれには込められているみたいだな」

「そんな呑気なこと言ってる場合じゃないだろ。どうするんだよ」

「俺たちでは、無理だな」

「おいおい。何を言ってんだ、あんた。このクラスの呪怨を呼び起こしておいて逃げるっていうのか」

「まさか。俺たちには無理だけど、俺にはヒナコがいる」

「……あのバケモノか」

「よせよ。お前があまりにヒナコのことをバケモノなんて呼ぶから、きょうは機嫌が悪い」

 二階堂はそう言うと、懐から人形ひとがたの紙を取り出して、それを破ってみせた。

 するとヒナコの身体が蒼い光に包まれていく。

 先ほどまで制服を着た女子生徒のようだったヒナコの髪は長く伸び、そして平安時代の貴族のような着物姿へと姿が変わった。

のことをバケモノなどと呼びおったな、小僧」

 そう言ってヒナコが男をひと睨みする。

 そのひと睨みだけで、男は心臓を鷲掴みにされたような感覚に陥り、生きた心地がしなかった。

 ヒナコの正体。それは平安の頃から存在している()()だった。その呪いは二階堂家が代々に渡って管理しており、二階堂自身も先代であり、師であった兄から受け継いだモノだった。強い呪いであるヒナコは身体を少女へと擬態化させ、現世に存在しているのである。

「きょうの我は機嫌が悪いぞ」

 ヒナコはそう言うと、目の前にいたバレリーナ姿の少女の頭に持っていた畳んだ扇子を振り下ろした。

 少女の断末魔が響き渡り、辺りがまばゆい光に包まれていく。



「結局は、何もわからずじまいか」

「仕方ないだろ。ヒナコの力を借りなければ、こっちがやられていた」

「あんた、探偵なんだろ。調査結果とかいいのかよ?」

「邪が祓われて、平穏無事に終わればいいんだよ」

「そんなもんなのか」

「ああ。そういえば、名前聞いてなかったな」

「桂川だ。眼鏡の探偵、あんたは?」

「二階堂だ」



 講堂のバレリーナ 了

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ