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第53話 集結

「魔法少女達をその役目から解放してあげてほしい」


 俺はハラグロにそう言った。俺が初めてハラグロと会った時は、確か「解除はできない」と言ってたっけ。


「それはできないよ。前にも言ったけど、僕は力を与えることはできても解除することはできないんだ」


 俺としてはそれが本当かどうか疑わしいんだけどな。なんとかしてそれを確かめることができればいいんだけど。


「それならピンク髪の少女達は、ずっと魔法少女として暮らしていくことになるのか?」


「この先もこの世界が続いていくのなら、そうなるだろうね」


「そんな機密事項ともいえることを俺に話してしまっていいのか?」


「ああいいとも。だって僕は君の持つその宝石を回収しに来たんだからね。するとどうだい、ちょうど君が宝石を取り出しているところだったじゃないか。さあ、それを僕に渡してもらおうか」


 つまりこいつは俺から宝石を奪い取った後、すぐにでもその力を使うから、もう隠す必要も無いということか。俺の右手に握られた宝石は一瞬にして、世界の命運に変わった。


「待て、その前にいくつか聞いておきたいことがある。こんな回りくどいことをしなくても、お前が直接手を下したほうが早いんじゃないのか?」


「僕が得意なことは戦闘じゃなくてね。だから代わりに戦ってくれる戦士が必要なのさ」


「ということは怪異は……?」


「そうだよ、僕が作り出したのさ。でもその原動力になっているのは感情のエネルギーだよ」


(ネットの考察、当たってる……)


「だったら別に魔法少女がいなくてもいいじゃないか」


「彼女達には怪異をひとまとめにする役割を担ってもらったんだよ」


 ハラグロは淡々と俺の質問に答える。きっともう勝った気でいるのだろう。


「ついでにあのピンク髪の女の子も怪異になってくれれば良かったんだけど、それはおまけみたいなものだから仕方ないね」


「魔法少女をなんだと思ってんだ!」


 俺は転生してから初めて本気で怒りを露わにした。だけどこれこそがこいつの欲しいもの。だから俺は静かに怒りの炎を燃やす。


「さあ、もういいかな。その宝石を渡してくれるかい?」


「俺がその話を聞いて渡すと思うか?」


「一応聞いてみただけだよ。それよりも君にいいことを教えてあげる。次に怪異が出る場所はね、『駅』だよ」


 ハラグロが言う『駅』とは、俺達が陽山(ひやま)さんと緑川さんに会いに行く時に降りる駅のこと。昼間は特に人通りが多い大きな駅。


「まさかそれもお前のしわざか」


「そうだよ。怪異が現れるよう種をまいておいたんだ。君が来るまで待っててあげるよ。それじゃ僕は先に行ってるね」


 ハラグロはそう言い残して、スーッと消えた。


 普通に考えるとこれは罠だ。もともとハラグロは今日、この宝石を回収するつもりらしい。

 だから俺との戦いになることも想定済みというわけか。


 たとえ俺が何もしなくても、いずれ魔法少女達が駆けつけるだろう。だから行かないという選択肢は無い。




 俺は結界を張りハラグロ指定の駅へと走った。そういえば俺が結界を張るのは初めてだ。こういう時の魔法や乗り物があればいいんだけど、変身している時の身体能力は人間離れしているので、カッコいいかどうかは別として問題はない。


 結界内では怪異の気配が分かるけど、今は感じない。ハラグロはまだ怪異を作り出していないということだ。


 俺はハラグロから場所を聞いているため、先に到着することができた。


「やあ、それじゃ怪異を出すよ」


 ハラグロはそう言うとどこかに消え、代わりに怪異が姿を現した。

 だけどハラグロが自信たっぷりだったわりには、強くない。


 俺が怪異を倒し終わった後、後ろから聞き慣れた声がする。


「えっ、この結界張ったのって、あんたなの?」


「ナイトさん……」


 陽山さんと緑川さんの二人が意外そうにしながら、俺の近くにやって来る。


 さらにそれから数分が経つと、今度は桜野さんと蒼月(そうげつ)さんが到着。


「小夏さんと若葉ちゃん。それにナイト君」


「どうやら怪異は倒したようね」


 ここに再び魔法少女戦隊が集結した。


(なんてふざけてる場合じゃない、ハラグロはどこだ?)


 俺が辺りを見回していると、ハラグロが俺達の正面にスーッと姿を現した。


 俺や魔法少女達とハラグロが初めて対峙した。

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