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第51話 こんなところに百合がありました

 海水浴に行った日の夜。風呂に入り夕食をとり、あとは寝るだけとなったところで疲れがどっと出た。明日は学校だから今日は早めに寝てしまおう。


 その前に今日俺が闇堕ち体験した時の、ハラグロについて考えてみることにした。


 あの時ハラグロは、「ドラゴン型怪異の回収おめでとう」と言っていた。

 ということは、ハラグロは俺達の戦いをどこかで見ていた可能性がある。

 もしくは怪異そのものをハラグロが作り出した……? もしそうなら、転生前の世界でのネットの考察が当たっていることになる。


 アニメは第二期の制作が発表されているから、その真相は第二期で。ということなんだろうな。

 個人的には分割2クールはやめてほしいけど、大人の事情というものがあるのだろう。


 業界人じゃない俺ですらアニメ業界を描いたアニメを観たりして、アニメ業界は人手不足だということを知っている。


 だから無理をして同じ話の再放送や作画崩壊を起こすくらいなら、分割してでも良質にしたい、してほしいという思いが制作会社と視聴者にあるに違いない。


 スタッフロールにどう考えても本名とは思えない、悲痛な叫びみたいな日本人ぽい名前が載ってたアニメもあったからなぁ……。

 実際「万策尽きた」って、本来ならもう終わりだと思うんだ。アニメ業界のみなさんには本当に感謝しよう。……と、ただの高校生が思ってみる。


 それはそれとして、もし本当にハラグロが怪異を作り出しているのなら、その目的は何かということだ。負の感情を集めるというのは分かるけど、実際それを何に使うのか。


(ハラグロに聞いてみないと分からない、か)


 俺はそんなことを考えながら眠りについた。それだけだとなんだか(しゃく)なので、今日の魔法少女達の水着姿も少しほど。




 そして一学期の最終日になり、明日からはいよいよ夏休みが始まる。この解放感たまらねえなぁー! 一ヶ月以上も連休だなんて、大人になればまず無理な話だろう。


 学校が終わり、俺はいつものように桜野さんと蒼月(そうげつ)さんの三人で帰っている。


「やっと明日から夏休みだねー!」


桃華(とうか)、ちゃんと宿題も早めに終わらせるのよ」


「むうぅー、分かってるよー」


「本当かしらね、夏休み後半になって毎年私に泣きついてくるのは誰だったかしら?」


「はい! 私でーす」


「桃華は成績がいいから私に頼らなくてもいいと思うのだけど」


「うーん、だってさ、夏休みだよ? やっぱり遊びが優先になっちゃうよね」


「だからって、わざわざ私の家に来る必要があるのかしら?」


「それはね、私が氷奈(ひな)に会いたいからだよ。だからワザと宿題を残すんだよ」


 桜野さんはそう言うと、蒼月さんと腕を組んだ。


「べっ、別にそんなことしなくても普通に遊びに来ればいいじゃない」


 そんな桜野さんに蒼月さんが少し迷惑そうに答えた。だけど腕を組んだままの桜野さんを離そうとはしない。


「え、いいのー? 毎日はどうかなー?」


(桜野さん、さすがに毎日は迷惑なんじゃ?)


「とっ、桃華が来たいのなら私は別に構わないけど……!」


(いいのか……!)


「やったぁ! だけど今日は無理かぁ。それにさすがに毎日は迷惑だよね。でも楽しいことは早い方がいいよね。……あっ、ごめん。私ってばまた自分だけで決めちゃった」


「桃華だけじゃないわ。私もそれでいいと思ってるもの」


「やっぱり氷奈は優しいねっ!」


「そ、そうかしら? 自分では分からないのだけれど」


「だったら私が氷奈の良さを何回でも教えてあげる」


 桜野さんの腕を組む強さがさらに強くなったように見えた。それでも蒼月さんは桜野さんを離そうとはしない。


(こ、これは……! 二人だけでも十分にてぇてぇじゃないか……!)


 多分だけど蒼月さんは男女問わず、気持ちをストレートに伝えられたりすることに弱いのかもしれない。


「また今度氷奈の都合がいい日を教えてね!」


「ええ、分かったわ」


 そんなわけで俺はほとんど会話に参加せず、一学期が終わった。

 なんとしても夏休みが終わるまでに、彼女達を魔法少女の使命から解放したい。魔法少女といっても、普段は普通の女の子と変わりないんだから。


 そしてその日の夜八時。俺は今、部屋の中である試みをしている。

 それはあの宝石を具現化すること。そしてそれに釣られてハラグロがやって来ないかと考えている。だってまずはハラグロに会わないことには始まらないのだから。


 果たしてこれだけでハラグロはやって来るのだろうか。

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