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第30話 ギャルを攻めよう

 緑川さんと出かけた日から一週間後の夜、俺は部屋の中で今の状況を整理してみることにした。


 今はアニメ第五話まで進んでいて、魔法少女達からの信用度合いというか、俺が思う印象はそれぞれこんな感じ。


 まず桜野さんだけど、アニメの通りの性格でいつも明るく元気。隣の席になった俺に声をかけてくれたわけだし、よっぽどじゃない限りは桜野さんに嫌われることは無さそうだ。むしろ桜野さんに嫌われたら逆にすごい。


 変身した俺への反応は、とりあえず好意的になってくれているとは思う。怪異を回収するのだって、きっと次からは最初から俺に任せてくれるはず。


 だけどもう一押しって感じで、最終話の内容についてはまだ半信半疑かな。つまり外堀を全て埋めろと……?



 次に蒼月(そうげつ)さんについて。蒼月さんもアニメで観た通りの性格で、普段から物事を冷静に見ている。


 俺への接し方も同じような感じでドライというか、多分悪くは思われてないだろう。俺が初めて桜野さんから昼食に誘われた時、蒼月さんも俺の同席を許可してくれた。


 変身した俺への反応は……。まあ、うん、なんというか……、めちゃくちゃ見てくる。

 ちょっとつり目がちな美人で目力があるから、見られすぎて俺の体に穴が開くんじゃないかと心配になる。


 まさかとは思うけど、そのうち「好き! だから監禁するわね!」なんてことにならないよな……? いかん、蒼月さんはそんなキャラじゃないぞ!


 最初に会った時はあんな感じじゃなかったのに。心当たりは……、あるけども。

 でも蒼月さんのおかげで、桜野さんの信用をかなり得ることができたことは間違いない。


 桜野さんが宝石を使うのを止めてくれたり、実際に行動を起こしてくれてもいる。

 なので俺が気をつけることとしては、二人の仲が悪くならないようにフォローすることだ。それも絶対にあってはならない。



 そして緑川さん。彼女もアニメで観た印象通りの無口少女だった。だけどそれはアニメで観たってだけで、実際に話してみるとそんなことはなかった。


 楽しい時には笑い、嬉しい時には嬉しそうな声を出す。そして自分のことよりも家族や他の人のことを考える。


 ダンジョン怪異に駆けつけた陽山(ひやま)さんが緑川さんの無事を確認した時、陽山さんが抱きしめて、さらに泣きそうな声を出していた。


 俺はそんな場面を目の当たりにして、俺があの日見てきた緑川さんに偽りなど全くないと思ったんだ。


 変身した俺への反応は、実は怖がられていたことが判明。だけど、それもあの日でずいぶん変わったんじゃないかな。

 自ら陽山さんに説明をしてくれたし、多分これからも協力してくれそうな気がする。



 最後に陽山さんだけど陽山さんもまた、アニメ通りの性格でギャルだ。オタクに優しいかというと、多分優しい。


 普段の俺にも好意的。でもそれは桜野さんと同じく、明るい性格で初対面の人とでも仲良くなろうとするタイプだからだろう。


 桜野さんと違うのは、厳しいところは厳しいというか、陽山さんなりの判断基準があるんだろうなと思えることかな。


 変身した俺への反応は、まぁ良くは思われてないよねってことだ。蒼月さんと緑川さんのおかげで、敵認定だけはなんとか回避できてるって感じ。

 なので変身した状態で陽山さんの信用を得なければ。


 

 そう考えた俺はスマホを持ち、とある連絡先を表示させた。画面には『陽山 小夏』の文字が並んでいる。


 時刻は午後九時。電話しても問題ない時間だと思うけど、まずはメッセージアプリでやり取りしてみることにしよう。まあなんというか、いきなり女の子に電話するのは俺にとって雲よりもハードルが高い。


 アプリを開いて、リストから陽山さんを選択。連絡先を交換した日に陽山さんから来た、『これからもよろしくねー!』というメッセージと、俺が返信した『こちらこそよろしくお願いします』というやり取りだけが表示された画面を開いたままで、入れるメッセージを考える。


『こんばんは、一条です。いきなりですみません。お聞きしたいことがありまして、やり取りできる時間があれば、返信もらえたら嬉しいです』


 うーん、ちょっと硬いかな? でも陽山さんは高三で先輩だから失礼になったらいけないしなぁ。

 こういうアプリのいいところは電話と違って、対応するタイミングを自分で決められることだな。その反面、既読スルーという悲劇も起きるけど。


 考えた結果、さっきの文章でメッセージを送った。これでもし何日経っても既読スルーということになったら、俺の枕は涙でびしょ濡れだな! ……真面目な話、実際のところいつまで待つものなんだろう?


 数少ない男友達となら、きっとお互いに暇だから即レスだったけど、相手が女の子だと全く分からない。こういうところにも経験の無さって出るものなんだな。


 送信から十分ほどしてスマホの画面が明るくなり、アプリからの通知が来たことを知らせてくれた。


 そしてトーク画面を開くと、陽山さんからのメッセージが届いていて、めちゃくちゃ安心した。


『一条君こんばんはー! まさか一条君からメッセージくれるなんて、ちょっとビックリしたよー。ていうか私から連絡先交換しようって言ったのに、あんまりメッセージ送らなくてごめんねー! それで私に聞きたいことって何かなー?』


(さすが陽山さん、メッセージも明るいなぁ)


 陽山さんへメッセージを送った目的、それは陽山さんと出かけることだ。

 といっても付き合いたいとかそういうことじゃなくて、桜野さんをはじめとした魔法少女達の解放という一番の目的のために、今度は自分から動いてみようと思ったんだ。

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