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第16話 魔法少女、全員そろう

「あなたが私を必要としてくれたこと、すごく嬉しかった。責任とってね」


 去り際に蒼月(そうげつ)さんがボソッと(つぶや)いた。責任とは……?


 疑問を残して去って行く二人。俺は改めてさっきまでの出来事を思い出す。


 えっと、映画館に怪異が現れて蒼月さんが来て、俺が速攻で怪異を回収して、蒼月さんを説得したけど手応えがなくて、だから言葉を考えて、こう言ったんだよな。「俺にはお前が必要なんだ!」……って。


 桜野さんを説得するためには、蒼月さんの協力が必要だからそう言ったんだけど……。


(そんなの告白じゃねぇかーっ!)


 告白どころじゃない。もしかしたらプロポーズと思われても仕方ないような言葉。きっと変身して気が大きくなっていたのだろう。


 責任を取るってそういうことか……。変身してる時だけモテてもしょうがないじゃないか。蒼月さんに勘違いさせてしまったか……?


(これから蒼月さんの猛アピールが始まったりして。……なんて、そんなことあるわけないか)





【映画館での出来事から一週間後の休日】


SIDE 蒼月 氷奈


 今日はあの二人と久しぶりに会う約束をしているのよね。桃華(とうか)と待ち合わせをしているのだけど、少し待たせてしまっているかしら?


 私が待ち合わせ場所の駅に着くとすでに桃華が到着しており、私が「ごめんなさい」と謝ると桃華は、「私も今来たところだよー」と明るく笑ってくれた。


 中学生の時にお互いが魔法少女だと分かってからの付き合いになるけど、その明るさにいつも助けられているの。


氷奈(ひな)、楽しみだね!」


「ええ、そうね。二人とも元気かしら」


 今から私達は他の二人の魔法少女に会いに行く。学校が違うから、会いに行く時はいつも電車を使っているの。


 桃華と雑談を楽しみながら、電車に揺られてとある駅へと到着。そこから数分ほど歩いたカフェに入って、知ってる二人を探す。


 そして二人を見つけた私達が席に近づいて行くと、先に座って待っていた子から声がかかった。


「桜野ちゃーん、蒼月ちゃーん、こっちこっちー」


 声の主は私達より一つ年上で高校三年生の魔法少女。肩の少し下あたりまである金髪をツインテールにしており、それでいて盛り髪というのかしら? ボリュームのある髪型をしている。イメージカラーは黄色。


 陽山ひやま 小夏こなつさん。桃華とはまた違った明るさで、ギャルっぽい見た目といい私から見ても可愛らしい人だなと思うの。


「小夏さん、お久しぶりでーす」


「陽山さん、ご無沙汰してます。今日は来てくれてありがとうございます」


 私達はそれぞれそう言って四人がけの席に座った。


「二人とも元気そうだねぇー!」


 陽山さんは私達を見て嬉しそうにしてくれている。


 そしてもう一人。私から見て対面に座る陽山さんの左隣にも魔法少女がいる。


 緑川みどりかわ 若葉わかば。彼女は陽山さんと同じ学校に通う高校一年生で、イメージカラーは緑。


 肩まである美しくゆるふわな緑系の髪をしており、どこか幼さの残る顔で桃華よりも小柄で、どこか控えめな女の子。この子もまた私から見ても十分に可愛い。


「あ、あの……。桃華さん、氷奈さん、お久しぶりです」


「うん、若葉ちゃんも元気そうでよかったよ」


「緑川さんも来てくれてありがとう」


「は、はい……」


 緑川さんはそれだけ言うと黙ってしまった。これもまた彼女の魅力だと私は思うの。


「それで桜野ちゃん、今日は何の用? 何か大事な話があるのかなー?」


「そうなんです。実は——」


 桃華が二人にこれまでのことを説明した。あぁ……、あの人のこと、二人はどう思うのかしらね。


「へぇー、全てを知ってる謎の存在かぁー。怪しさ満点じゃん」


 陽山さんも信じてはいないみたいね。


「若葉ちゃんはどう思う?」


「私も……、信用しないほうがいいと思います……」


 縁川さんもみんなと同じみたいね。私だけがあの人のカッコよさを知ってるということね。


「じゃあさー、次に怪異が出た時にでも会ってみよっかなー。そして私がビシッと言ってあげるよ、『あんた何言ってんの?』ってね!」


 陽山さんは冗談めかしてそう言いながら、誰もいない空間にビシッと指をさす。


(私、どっちの味方をすればいいのかな)

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