1-7 元悪役令嬢は叔父の優秀さを聞く
「でも、お父様はお母様を愛していたんですよね?」
「ああ、そうだ」
「でも、政略結婚だったんですよね?」
純粋な疑問を投げかける。
別に政略結婚で必ずしも愛がないわけではない。
だが、父の話を聞く限り、家同士の繋がりを作るための代理の相手にしか聞こえない。
それなのに、愛があるとは思えないけど──
「私はずっとガーベラのことが好きだった。だが、兄の婚約者ということで諦めていた」
「・・・・・・そうなんですね」
父からの愛はあったようだ。
そんな父にとって、兄の話はチャンスだったのかもしれない。
「ガーベラや彼女の家からすれば、公爵家と縁を結べれば良かったから、相手は私でも兄でも良かったわけだ」
「でも、お母様からすれば、メイドに負けたことになるんじゃ・・・・・・」
「別に愛情があったわけではないから、負けたとは思っていないだろう。そもそも彼女も兄の恋は応援していたからな」
「そうなんですか?」
まさかの母公認だとは思っていなかった。
てっきり叔父とメイドの駆け落ちだと思っていたけど──
「唯一反対していたのは私の父──お前の祖父だな。怒った父は兄を勘当にした」
「まあ、それは当然ですよね」
家同士のつながりを作るための政略結婚を蹴って、メイドに心を奪われたわけだ。
祖父が怒るのは当然である。
「兄はメイドと共に公爵家から出て行った。メイドの方はクビ扱いだった」
「仕方がないことですね」
今までの話の流れから当然の結果だろう。
流石に恋愛に疎い私でもこの結果はわかった。
「公爵家を出た兄に私は援助を申し出た。いくら優秀な兄でも平民の生活ができるとは思えなかったからな」
「たしかに・・・・・・」
次期公爵として育てられたのであれば、貴族としての生活が当たり前だろう。
いきなり平民として生活をするのは難しいと思う。
「だが、兄はその援助を断った」
「どうして?」
「兄はこうなることを予見していたらしい。事前にこっそり平民の生活を経験していたらしい」
「用意周到ですね」
本当に優秀な叔父だったようだ。
まあ、自分の進みたい道の先がどうなるのかはわかっていたはずだ。
その上でしっかり準備をしたわけだ。
これは大事なことかもしれない。
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