番外編1-2 クールな公爵家のメイドはお嬢様の幸せを願う 2
お嬢様が婚約者候補になってから10年の月日が経った。
その間、お嬢様は可愛らしい少女から綺麗な女性へと成長した。
それだけなら、とても喜ばしいことである。
だが、成長するにつれて、悪いことも覚えてしまったようで──
「あと少しで自由になれるわ」
自室でお嬢様はなにか呟いていた。
あまり良いことではないのは長年の経験で予想がつく。
そもそもお嬢様がやりたいことなど近くにいた私には筒抜けである。
そして、その計画が上手くいかないだろうことも──
「今度はどんな悪巧みですか?」
「悪巧みって失礼ね。みんなが幸せになるための計画よ」
「信じられませんが・・・・・・」
「失礼ね」
私の呆れたような反応にお嬢様は文句を言ってくる。
そう言って、何度失敗してきただろうか。
何度失敗しても挑戦するのは素晴らしいが、諦めることも大事だと思う。
「あまり無茶をしないでくださいね」
「わかってるわ。ホリーの迷惑になることはしないわ」
「私のこともですが、お嬢様自身のことも大事にしてください」
「・・・・・・わかってるわよ」
「?」
少しおかしな反応が気になってしまう。
だが、悲しげな表情にそれ以上のことは聞けなかった。
「ねぇ、ホリー」
「なんでしょうか?」
「もし、私がひとりぼっちになっても、一緒にいてくれる?」
お嬢様がおかしなことを聞いてくる。
だが、その表情には不安が見て取れる。
本気で心配している、私はそう感じた。
ならば、私の答えは一つである。
「もちろん、一緒にいますよ。私のいる場所はずっとお嬢様の近くなんですから」
「っ⁉ ありがとう、ホリー!」
私の答えを聞いたお嬢様は勢いよく抱きついてきた。
まるでお嬢様が変わったあのときを彷彿させる。
成長しても、変わらない部分もあるのだろうか。
そんなことを考えながら、私はお嬢様を優しく抱き締めた。
頭を撫でるとお嬢様は嬉しそうな表情を浮かべた。
結局、お嬢様の計画は失敗に終わったようだ。
望んでいた自由は得られず、王太子妃として不自由な生活を強いられるようになってしまった。
可哀想ではあるが、王族に目をつけられた状況で私にできることはなかった。
私にできるのはお嬢様のそばでずっと支えることだけだった。
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