3-16 元悪役令嬢は勘違いに気付かされる
「というわけで、君は他の令嬢を指導できるほど優秀な令嬢という評価になったわけだね。婚約者候補としてふさわしい実績じゃないかな」
「そ、そんな・・・・・・」
嫌な事実を突きつけられ、私はその場に崩れてしまう。
今までの計画が無駄になってしまったことがショックである。
しかし、すぐにまだ方法があることに気付く。
「で、デイジーのことはどう思っていますか?」
「ん?」
予想外の質問だったのか、アレク様は怪訝そうな表情を浮かべる。
その隙に私はさらに質問する。
「アレク様は遠ざかる者を追いかけたい人ですよね。デイジーも遠ざかろうとしていたはずです」
形勢逆転の一手をうつ。
これはアレク様が私に言ったことである。
これが事実なら、デイジーに興味を持っているはずだが──
「ああ、その件なんだけど、勘違いだったよ」
「勘違い?」
意外な返答に私の口が止まる。
一体、どういうことなのだろうか?
「別に遠ざかる者を追いかけたいんじゃなくて、本気で逃げようとしている人を追いかけるのが好きみたいなんだよ」
「なんですか、それ」
まったく理解ができない。
どういう趣味嗜好なのだろうか?
「これでもずっと好意を持たれてきた人生だから、人から好かれても何も思わないんだよね」
「まあ、第一王子ならそうなるでしょうけど」
「そんな人生の中で初めてだったんだよね。僕から本気で逃げようとした人は」
「それって、私?」
「そうだね。でも、別に僕も本気で嫌われていたら、こんなにも追いかけるつもりはなかったよ? 別にロータス嬢は僕のことが嫌いじゃないよね」
「う・・・・・・」
アレク様の指摘に私は言葉を失う。
たしかに私は前世の経験からアレク様の婚約者になりたくなかったが、アレク様自身が嫌いなわけじゃなかった。
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