3-15 元悪役令嬢の計画は崩れる
「ど、どうして?」
自分の思い通りにならず、私は慌てていた。
ここで私は普通の令嬢に戻れるはずだった。
悪くても平民落ちぐらいだと思っていた。
それなのに、なぜ婚約者候補のままなのだろうか?
「だって、ロータス嬢は悪いことをしていないのだろう? だったら、罰を与える必要がない」
「ですが、デイジーを虐めたという噂が流れています」
「噂は噂だろう? そもそも君は彼女に令嬢としての教養を身につけさせたのだから、褒められることはあっても罰せられることはない」
「うぐ」
予想外の展開に私は言葉を詰まらせる。
まさか冤罪の可能性を摘むことでこんな弊害が起こるとは思わなかった。
「ですが、デイジーには厳しくしました。虐めではないですが、性格が悪い令嬢は婚約者の候補にふさわしくないでしょう」
「厳しくする必要があったんだろう? その程度で性格が悪いことにならないし、デイジー嬢も気にしている様子はない」
「くっ」
言い訳もまったく通用しない。
予想外の連続で頭の中がぐちゃぐちゃになっている。
予定とはまったく別の方向に事態が進んでしまっている。
「ちなみに噂の出所は君だということはわかっているよ? 取り巻きの令嬢達に噂を流すように命令したんだよね?」
「取り巻き? 私の友人達をそのように言うのは止めてください」
アレク様の言葉に私は反論する。
取り巻きという言葉は嫌いだった。
前世の私を裏切ったのは自ら取り巻きだと名乗っていた連中だった。
そんな奴らとは違う、彼女たちは立派な友人である。
「しっかり信頼関係があるようだね。彼女たちもただ悪い噂を流すのは駄目だと思って、事実も一緒に流したようだね。ロータス嬢は虐めをやっていない、ってね」
「え?」
「そのせいか、君が虐めをしているという噂が流れたけど、信じる人はほとんどいないという状況になっていたよ」
「なっ⁉」
さらに予想外の事実を知らされた。
令嬢達と友人になったせいで、予定とは違うことになってしまっていた。
作者のやる気につながるので、読んでくださった方は是非とも評価やブックマークをお願いします。




