3-13 元悪役令嬢は嘘をつかない
「自分の罪を認めない、ということかい?」
「ええ、もちろんよ。やっていないことで裁かれるなんて、私は嫌よ」
私は自信満々に答える。
前世の私は反論できる材料がなかったので、冤罪にかけられた。
しかし、今回の私はしっかりと証明できる。
その上で作戦は次の段階に進める。
「ですが、王家としても私のような黒い噂がある令嬢を婚約者とするのは問題でしょう。ましてや未来の国母にするなんて、もってのほかですよね」
「何を言っているのかな?」
アレク様は理解できないようで聞き返してくる。
流石に優秀な彼でもこの状況は想定していなかっただろう。
「私は婚約者候補の座から降ります。婚約者はリリーかレイラ嬢、デイジーからでも選んだら良いのでは?」
私は笑顔で宣言をした。
周囲のざわめきが一気に大きくなる。
「そんなこと、認められると思っているのかい?」
「ええ、もちろんですわ」
「たしか、他の令嬢の足を引っ張ったりしたら、婚約者が確定するという話だったと思うけど?」
「私は足を引っ張っていませんわ。むしろ、より令嬢らしい教養を身につけさせましたわ」
言い訳については考えている。
足を引っ張ることで罰を与えられるのであれば、逆のことをすれば良い。
そうすれば、他の令嬢達の評価があがり、相対的に私の評価を下げられるわけだ。
「手を抜いたりしても、同様だったと思うが?」
「手は一切抜いていませんわ。むしろ、本気でしたわ」
これも嘘はついていない。
王妃教育を本気で受けたうえ、本気で候補から外れるように努力をしたわけだ。
そのため、他の令嬢への教育が厳しくなったのも事実だ。
これが虐めを行ったという話に繋がるように──
「なるほど、これが君の考えた筋書きかな?」
「まるで私が悪事をしたような言いがかりはやめてくれませんか?」
私は実際に悪事をしていない。
だから、誰も私を裁くことができないのだ。
そして、悪評のある私を王家は婚約者にすることもできないから、晴れて私は自由の身に──
「君が候補から外れることはないよ」
「はい?」
予想外の展開に私は呆けた声を出してしまった。
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