3-12 元悪役令嬢は男爵の懸念に気付かない
「デイジーがアレク様に認識されつつ、逃げようとしている。これならかつての私のように興味を持たれるはずよ」
自分の作戦に自信を持つ。
アレク様の女性の趣味が変わっていないのであれば、これで大丈夫のはずだ。
私よりもリリーやレイラ嬢の方が素晴らしい女性なので、変わっていたらそちらと交流を増やしていると思う。
そうなっていないのだから、変わっていないのだろう。
「理屈はわかりましたが、どうにも上手くいかないと思いますよ」
「なんでよ」
男爵の水を差す発言に思わず睨んでしまう。
どこに上手くいかない様子があるのだろうか?
「殿下はかつて自分から逃げようとしたロータス様に興味を抱いたんですよね?」
「ええ、そうよ。本人から直接聞いたから間違いないわ」
「それって、殿下の誕生パーティーでの出来事ですよね?」
「そうね」
質問に私は頷く。
今でも私はあのときの自分の行動に後悔している。
殿下のことを知らなかったとはいえ、まさかあのような考えの持ち主だとは思わなかった。
前世でも理解していなかったので、冤罪をかけられたわけだけど──
「誕生パーティーの後、殿下に寄ってきた令嬢はいましたか?」
「ん? ほとんどいなかったと思うけど・・・・・・」
「殿下は他の令嬢に興味を抱くような発言はしてましたか?」
「・・・・・・してなかった気がするわ」
記憶を探るが、殿下が私以外の令嬢と話している姿が思い出せない。
もしかして──
「私がいないところで他の令嬢と会っていたのかしら?」
「そうだったら、その令嬢が自信満々に言うと思いますよ? 殿下と懇意になった、とね」
男爵は呆れた様子になる。
少しは隠して欲しい。
「あ、デイジーには話しかけていたわ」
「それはロータス様が一度近づくように言ったからでしょう?」
「でも、名前を覚えていたから、興味はあるはずよ」
「はぁ・・・・・・乗りかかった船なので最後までお付き合いしますが、どうなっても知らないですよ?」
「?」
男爵はさらにため息をつく。
一体、どういうことなのだろうか?
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