3-11 元悪役令嬢は作戦を進める
「まあ、娘のことはさておき、ロータス様が王妃にならない未来が想像できないのですが・・・・・・」
申し訳なさそうな表情を浮かべる男爵。
たしかに現状では私が王妃に最も近いのも事実だ。
普通に考えれば、ありえない話だろう。
「そんなことはないわ。アレク様は私に興味がないもの」
「ロータス様の思い込みでは?」
男爵は失礼なことを言ってくる。
ここで反論するのも面倒なので、話を進める。
「私が婚約者候補に選ばれた理由はわかる?」
「優秀だったからでは?」
「否定はしないけど、それだけならリリーやレイラ嬢と大差ないわ」
「では、どういった理由で?」
「私が他と違う考え方をしているからよ」
「ああ、なるほど」
私の説明で男爵は納得してくれる。
商会を大きくしたのは私の知識もあるが、突拍子のない作戦の結果でもある。
誰もやったことがないことに挑戦し、利益を独り占めする。
失敗のリスクはあるが、成功したときのリターンも大きいのだ。
「私は未来の王妃になりたくないから、逃げようとしたの。それがアレク様のお気に召したらしいわ」
「まあ、王妃様は令嬢にとって夢の一つでしょうしね」
普通の令嬢の夢は私の夢ではない。
前世で求めて失敗したのだから、期待しても無駄だと理解している。
だからこそ、逃げようとしたわけだ。
「というわけで、デイジーにはアレク様から逃げるように指示をしたわ」
「娘になんてことをさせてるんですか。不敬にならないですよね?」
「安心しなさい。何があっても、私が守ってあげるから」
「そもそもそんなことをさせないでくださいよ。まあ、いろいろ助けていただいているので、手伝いはしますけど」
自信たっぷりに答える私を見て、男爵は大きくため息をついた。
しかし、裏切るようなことはしない。
しっかりと恩を売っておいて良かった。
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