3-10 元悪役令嬢は裏で画策する
「もちろん、ロータス様には商会で働ける能力が十分に備わっていることは理解しております。正直、能力だけなら雇いたいと思っております」
「だけ、ってどういうことよ」
男爵の言い分に私は文句を言う。
それ意外に問題があるみたいじゃない。
「未来の王妃様を雇うことなんてできるわけないでしょう」
たしかに問題はあった。
普通に考えれば、男爵家が経営する商会に公爵令嬢を雇うことなんて普通はできない。
むしろ、乗っ取られるのではないだろうか。
「安心なさい。私が王妃になることはないわ」
「本当ですか?」
私の自信満々の言葉に男爵は怪訝そうな表情を浮かべる。
信じられないのだろうか?
「そのために何年準備してきたと。失敗したら、すべてが終わりよ」
「王妃様になるのだから、終わりにはならないと思いますが?」
「私にとっては終わりなの」
男爵の発言を否定する。
どうして誰も王妃になることを幸せであると信じているのだろうか?
権力を持っていても、必ず幸せになるとは限らないのだ。
「まあ、私としては娘が王家の覚えが良くなるので、嬉しい気持ちはありますけどね」
「このままなら、私の代わりに王妃だって夢じゃないわ。そのために私直々に指導をしてきたわ」
私は自信満々に答える。
デイジーにはすでに王妃教育の内容を個人的に指導していた。
リリーやレイラ嬢には劣るかもしれないが、王妃になっても立派にこなすことができるはずだ。
まあ、普段のだらしなさや腰の低さなど問題点は残っているが、実際に王妃になればいずれ直ってくるだろう。
立場が人を変えるのだ。
「それは無理だと思いますけどね」
だが、男爵は苦笑する。
どうして娘のことを信じないのだろうか。
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