3-6 元悪役令嬢は食堂を楽しむ
食事は人生の中でも大事なことですよね。
教室で授業を受け、昼になるころには私の体力はかなり減っていた。
別に授業の内容について行けないからではない。
近くにアレク様がいるからである。
罰のことがあるから、下手に手を抜けない。
ずっと気を張っている必要があり、自然と体力の消耗が増していく。
なので、昼休みになったらすぐに教室から逃げるように立ち去った。
アレク様から声をかけられる前に──
「さて、何にしようかしら」
食堂についた私はメニュー表の前で悩む。
学院の食堂は美味しい料理が多い。
前世の私は勉強しかしていなかったのだから、非常に損している人生だった。
それを補うように今世の私は食堂に通い詰めだった。
最初の1ヶ月で全メニューを制覇し、季節ごとのメニューや幻の限定メニューもすべて注文していた。
そのせいで今では逆に注文に迷うことになってしまった。
「よし、今日は揚げ物にしよう」
メニューを決めた私は注文しようと歩き始めた。
「ロータス様、待ちなさい」
「はい?」
いきなり声をかけられた。
振り向くと、そこにはレイラ嬢がいた。
相変わらず周囲には取り巻きがいる。
「いきなりどうしたの? 私、急いでるんだけど・・・・・・」
「たかだか昼食の注文をするだけでしょう。それよりも大事なことです」
怪訝そうな表情を浮かべる私に彼女は偉そうに話してくる。
同じ公爵家のはずなのに、昔から彼女は偉そうな態度である。
まあ、どちらが公爵令嬢としてあるべき姿かといえば、彼女の方かもしれない。
むしろ、令嬢らしくない私の方が駄目だろう。
だが、私にも譲れないものがある。
「食事は人生を彩る大事な要素でしょ。それを侮辱するのはたとえレイラ嬢でも許さないわ」
「そんなに怒ることじゃないでしょう!時間はそんなにかけないから、少しは我慢しなさい」
文句を言う私に彼女は一喝する。
仕方がないので、彼女の言うとおりにした。
昼休みはまだあるし、レギュラーメニューのため売り切れの心配も少ない。
食いっぱぐれることはないだろう。
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