3-5 元悪役令嬢は相変わらず慣れない
「やあ、ロータス嬢、デイジー嬢」
私たちに一人の男性が話しかけてくる。
アレク様である。
相変わらず人目を引く美しい笑顔が眩しく、周囲の視線がさらに集まってくる。
10年経っても、この顔には慣れない。
「ごきげんよう、アレク様」
「お、おはようございます、殿下」
慣れたように挨拶する私と緊張した様子のデイジー。
ここでも私と彼女は対極だった。
「デイジー嬢、僕たちは同級生なんだから、もっと親しげに読んでくれて良いんだよ」
「そ、そんなことできませんっ!」
アレク様の言葉にデイジーは首を横に振る。
たかが男爵令嬢が第一王子を名前呼びできるはずがない。
彼女の反応はもっともである。
「わ、私はこれで・・・・・・」
彼女は逃げるようにこの場を立ち去った。
その姿はまったく令嬢らしくない。
また注意しないといけない。
「人に慣れていない小動物みたいで可愛らしいね」
「ええ、そうですね」
去って行くデイジーを見ながら、アレク様が笑顔を浮かべる。
そんな彼の反応に私は内心喜ぶ。
彼は近づく者より遠ざかる者に興味を抱くタイプである。
これは良い傾向だろう。
「では、私はこれで・・・・・・」
「僕たちも教室に向かおうか。一緒の方向だしね」
「・・・・・・はい」
立ち去ろうとしたが、先手を打たれた。
流石に拒否するわけにはいかないので、仕方なく一緒に教室に向かった。
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