3-4 元悪役令嬢は新たな身代わりを見つける
朝食を終え、私は学院へと向かった。
3年も──前世を含めると6年も通ったせいか、馬車からの光景は見慣れていた。
しかし、この光景ももう見納めである。
馬車を降り、私は敷地の中に入る。
周囲から視線が刺さるが、私は気にせず歩き続ける。
そして、少し離れたところに見覚えのある人物を見かけた。
「あいかわらずみすぼらしい姿ね」
「ろ、ロータス様っ!」
私が声をかけると少女は驚いた表情を浮かべる。
彼女はデイジー──この学院に通う男爵家の令嬢である。
実家は商会を経営しており、そのことで貴族らしくないと嫌みを言われることも多い。
「身だしなみは大事だとあれほど言ったでしょう。いつになったら直すの」
「自分では上手く直せなくて・・・・・・」
私の叱責に彼女は申し訳なさそうに下を向く。
こういう姿が庇護欲を掻き立てる。
「まったくもう」
私はため息をつき、その場に鞄を置く。
そして、デイジーに手を伸ばし──
「これで終わりよ」
彼女の身だしなみを整えた。
我ながら見事な出来映えである。
彼女自身の元々の魅力もあるが、私の一手間でさらに魅力が増したはずだ。
「あ、ありがとうございます」
「感謝を言うぐらいなら、自分でできるようになりなさい」
「は、はいっ」
「まったく、返事だけはいいんだから・・・・・・」
大声を出す彼女に私は呆れる。
いつまで経っても、彼女は私に対してこんな反応である。
公爵令嬢と男爵令嬢の関係ならおかしくはないかもしれないが、もう3年の付き合いである。
少しは打ち解けてもいいのではないだろうか?
周囲からの視線が突き刺さる。
そういう意味では私の理想通りの展開かもしれないが──
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