3-3 元悪役令嬢は義弟が可愛い
「ロータスちゃんはクレイにも優しくしてくれるわ。そんな娘が嫌がらせなんて・・・・・・」
お義母様が隣にいた子供──クレイを見て、そう告げる。
彼はお父様とお義母様の息子であり、今年で5歳になる。
家庭内の空気が良くなったおかげか、二人の仲が進展した。
その結果、彼が産まれたわけである。
私とリリー──二人の娘しかいなかった公爵家にとって、後継者が産まれたのは嬉しいことである。
「お姉ちゃん、悪いことしているの?」
クレイは私に問いかける。
その純粋な目を向けられると、私は嘘をつけない。
可愛い義弟にとって、良いお姉ちゃんでありたいのだ。
「私は悪いことをしていないわ」
「本当に?」
「ええ、もちろんよ。みんなのためになることをしているの」
「良かった」
私が笑顔を向けると、クレイは素直に納得してくれた。
そんな彼の反応に優しい気持ちになる。
幼い義弟がこんなに可愛いとは思わなかった。
前世の私はなんて不幸な人生だったのだろうか。
「そういう対応を他にもしてくださいよ、お義姉様」
クレイに和む私を見て、リリーが文句を言ってくる。
相変わらずの呆れた表情である。
私の記憶にある彼女の表情はなぜかこの表情ばっかりである。
前世でも心配そうな表情を浮かべていた気がするけど、どうしてなのだろうか?
「なんでそんなことをする必要があるのよ。私が笑顔を向けるのは可愛いクレイにだけよ」
「クレイが可愛いのはわかるけど、他をないがしろにしていい理由にはならないわ」
私の意見に賛同しつつ、さらに文句を言ってくる。
まったく、どうしてこんな風になってしまったのか。
出会った頃はもっと可愛かったはずなのに──
作者のやる気につながるので、読んでくださった方は是非とも評価やブックマークをお願いします。




