3-2 元悪役令嬢は嘘をつかない
「ロータス」
「はい」
朝食中、お父様に声をかけられた。
その表情はまさに真剣で、茶化すことはできない。
「まだ嫌がらせを続けているのか?」
「嫌がらせ? 私は最初からそんなことはしていないわ」
質問をのらりくらりと躱す。
そんな私の反応にお父様は頭を押さえる。
「私の元にも話がきている。お前があの男爵令嬢に対して、嫌がらせを行っている、とな」
私は思わずにやけそうになるが、どうにか押さえる。
計画は予定通り進んでいるが、ここでバレてしまっては水の泡である。
なので、何も知らない風に白を切る。
「お父様は私よりも他の者の言葉を信じる、と?」
「私だって信じたいさ」
お父様は悲しげな表情を浮かべる。
正直、そんな表情をさせるのは本当に申し訳ない。
前世でも親不孝をした身としては、今世では親孝行をしたい。
そのためにも、まずは自由の身にならないといけない。
「ロータスちゃんがそんなことをするなんて、信じられないわ。何かの間違いじゃないの?」
お義母様がお父様に問いかける。
この10年で彼女も立派な公爵夫人になっていた。
最初は使用人達にも平身低頭だったのが、今では立派に指示を出したりできるようになっていた。
これも私が色々と教えたためである。
前世の彼女が不幸だったのは、私のせいで公爵家に馴染めなかったせいだ。
だから、馴染めるように公爵夫人としての立ち振る舞いを身につけてもらった。
といっても、私も知識としてしか知らないので、合っているのかわからないけど──
「私だって間違いだと信じている。だが、そういう報告が多いのも事実だ」
お父様は真剣な表情のまま首を横に振る。
苦しめている気がして、申し訳ない気持ちになる。
「ロータスちゃんのことが嫌いな人がそんな噂を流しているんでしょう」
お義母様が真剣な表情で意見する。
私のことを庇ってくれているのだろうが、そこまでされるほど嫌われていると言われている気がする。
自覚はしているが、改めて言われると結構きつい。
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