3-1 元悪役令嬢は前世の年齢に追いつく
一応、最終章の予定です。
婚約者候補になってから、10年が経った。
私は18歳となり、学院の最高学年として卒業を控えていた。
そして、前世の私の死んだ時に近づいていた。
「前世と違うけど、予定とも違うのよね」
私は思わず呟いてしまう。
前世のように死にたくないので、私は周囲に期待しないようにした。
そのため、ひたすら避けようとしたのだが、なぜか周囲に構われることが多かった。
どうしてなのだろうか?
「前世の私の性格が悪かった?」
嫌な結論に辿りついてしまう。
性格が悪かったせいで周囲に嫌われ、冤罪を被せられた──流れとしてはおかしくないが、認めたくはなかった。
まあ、今となってはどうでもいいことである。
「結局、婚約者候補から逃げられなかったか」
この10年の間、私はどうにか候補から外れようとした。
王妃様からの条件で無理矢理婚約者にさせられないように努力をした上である。
前世で一度学んだことなので、努力をしている振りはできた。
だが、私が王妃教育の内容を身につけていることを見せるたび、婚約者の立場へ近づいていた。
本当に困ったものである。
そんな私がとった方法は他の婚約者のレベルを上げることだ。
他の候補の足を引っ張ることは禁止されているが、サポートすることは大丈夫だ。
リリーとレイラ嬢の二人をサポートし、婚約者としてふさわしい令嬢に育てようとしたわけである。
そんなことをする私は二人に怪しまれた。
だが、本当の理由を告げることなく、なぜか二人とも受け入れてくれたのだ──呆れ顔で。
「でも、二人より私の評価の方が高いのよね・・・・・・」
二人は立派な令嬢へと成長していた。
正直、女の私から見ても見惚れてしまうほどである。
それなのに、周囲から私を婚約者に推す声の方が多い。
まったく意味がわからない。
いや、私を婚約者に望んでいるのは王家の意志なので──
「王家の覚えを良くしたいのかしら?」
「独り言が多いですよ、お嬢様」
結論に辿り着いた私にホリーがツッコミを入れた。
といっても、内容については触れられていない。
最初は注意されていたが、いつからかそんなこともなくなっていた。
もしかして、諦められている?
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