2-23 元悪役令嬢は恐怖で意識を失う
「殿下、姉を虐めるのは止めてください」
リリーが呆れたように告げる。
第一王子相手に不敬など気にしていない様子である。
「虐めてはいないさ。興味があることを伝えているだけだ」
「それが姉にとっては怖いようです」
「ふむ・・・・・・たしかにな」
二人は自然と会話をしている。
その間に愛などなさそうである。
あれ、おかしいな?
というか、アレク様は自分から遠ざかろうとする相手に興味があると言っていたが──
「アレク様、リリーはどうですか?」
「何がだい?」
「先ほど遠ざかろうとする相手に興味を抱くと言っていましたよね? リリーも言い寄ったりしていないと思いますが・・・・・・」
妹の後ろから意見を述べる。
情けない姿だとは思うが、これは仕方がない。
「・・・・・・お姉様」
リリーが呆れた表情をするが、気にしないことにする。
呆れられることに慣れている。
「残念だが、リリー嬢は半分しか条件に当てはまってないね」
「なんでっ⁉」
私は驚愕する。
リリーも条件を満たしていると思っていたのに──
「たしかにリリー嬢は言い寄ってはこないが、逆に遠ざかろうともしていない」
「へ?」
「まあ、単純に私に興味がないんだろうね」
「そんなっ⁉」
予想外の答えに私はさらに驚く。
なぜリリーがアレク様に興味を抱いていないのだろうか?
前世でも二人は上手くいっていたはずなのに──
「現状、婚約者候補に挙げられるだろう三人の中で僕の興味を一番引いているのはロータス嬢なわけだ。逃がすつもりはないよ」
「ひっ⁉」
アレク様の美しくも怖い笑顔が間近に来て、私は短い悲鳴を上げる。
そして、視界が暗くなっていき──意識を失った。
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