2-20 元悪役令嬢は提案をする
「それにどういう意味があるのかしら?」
王妃様が質問してくる。
その視線は鋭く、まるで睨まれているように感じる。
「周囲の反感を減らす目論見もありますが、よりふさわしい婚約者を選ぶことができます」
「ロータスちゃんより?」
王妃様からの私の評価が高い。
過大評価だとは思うが、今は指摘しない。
指摘しても意味はないだろうし──
「はい、もちろんです。婚約者候補を複数人選出することで、競争心を煽ります。そうすれば、自ずと能力が上がるはずです」
「たしかにそうね」
王妃様は納得してくれる。
一人で頑張るよりみんなで競争する方がより良い結果を生むことが多い。
彼女もそれはわかっているのだろう。
「でも、そういう競争は足の引っ張り合いも起こると思うわ。私の学生時代にもよくあったもの」
不安そうな表情で王妃様が告げる。
彼女の言いたいことも理解できる。
私だって、前世で足の引っ張り合いをしてきた。
その結果が冤罪による死である。
「それを防ぐため、罰を与えればいいのです」
「罰?」
「他の候補へ妨害した場合、候補から除外されるのはどうでしょうか? そうすれば、自分を高めることへ意識が向くはずです」
「なるほど。たしかにそうね」
私の提案に王妃様も納得してくれる。
もちろん、あくまでこれは表面的な内容である。
詳しいルールはこれから決めないといけない。
「じゃあ、ロータスちゃんへの罰も決めないといけないわね」
「へ?」
予想外の言葉に私は呆けた声を漏らしてしまった。
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