2-19 元悪役令嬢は逃げるための策を練る
「ロータスちゃんが義娘になるのは楽しみだわ」
「ちょっと待ってください」
嬉しそうな王妃様を私は止める。
不敬と取られてもおかしくないが、このまま婚約させられるよりは良い。
「どうしたの? アレクと婚約するのはそんなに嫌かしら?」
王妃様は聞き返しながらも、答えづらいことを言ってくる。
たしかに嫌ではあるが、アレク様を傷つけることは本意ではない。
別に彼のことが嫌いではない。
どうやって断るべきか──そうだ。
「いえ、そうではないです」
「なら、婚約の話を進めて・・・・・・」
「ですが、私がアレク殿下の婚約者になった場合、周囲が反対するはずです」
「そうかしら?」
王妃様は首を傾げる。
自分が気に入ったから周りも認めると思っているのだろうか?
まあ、彼女ほどの立場であれば、そう思って当然なのかもしれない。
「ええ、そうです。私自身が未来の王妃になるのにふさわしくないと思う者もいるでしょう」
「そういう者もいるでしょうが、いちいち気にする必要ないわ。全員が認めるなんて、ほとんど不可能だしね」
王妃様がため息をつく。
おそらく彼女自身も同様の経験があるのだろう。
否定するのは予想の範疇である。
「では、認めざるを得ない状況にすればどうでしょうか?」
「どういうことかしら?」
理解できないようで、王妃様は聞き返してくる。
周囲も同様でザワザワしている。
私に対して、馬鹿にした視線を向けてくる者もいる。
「私を婚約者候補にし、他にも令嬢を候補に選ぶのです」
「ふむ」
私の提案を聞き、王妃様が少し興味を向ける。
婚約者に選ばれそうな者からこんな提案が出るとは思わなかったのだろう。
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