2-17 元悪役令嬢は失敗に気付く
「あら、どうしてかしら?」
王妃様は普通に聞き返してくる。
おそらく理由はわかっているのかもしれない。
「私に未来の王妃は無理です」
「そんなことはないわ」
私の拒否もあっさりと否定される。
しかし、私としても引くわけにはいかない。
「おそらく先ほどの件で私のことを評価してくださったのでしょうが、あれはたまたまです。運が良かったから、良いようになっただけです」
「運も実力のうちよ。それに運だけじゃないと思うわ」
王妃様は一歩も引いてくれない。
やはり上に立つ者は強引な人が多いのだろうか。
「あんな提案ができるなんて、ロータスちゃんは頭が柔らかいわ。そういう考えができる娘が未来の王妃になったら、この国も良くなると思わない?」
王妃様は嬉しそうな表情で言ってくれる。
評価されるのは悪い気がしない。
だが、私の頭は別に柔らかくはない。
前世と同じようにならないため、しなかったことをしているだけなのだ。
「私の考え方は普通とは違う──いわば、異端です。単発では面白いかもしれませんが、ずっと続くようでは周囲に混乱を招きます」
とりあえず、私のことを下げるように発言をする。
新しい風を望んでいるのであれば、従来のものを壊すデメリットを伝える。
「異端、ってほどじゃないと思うけど、ロータスちゃんの心配は杞憂よ」
「・・・・・・どういうことですか?」
理解できず、首を傾げる。
自分の考えがおかしいことは理解しているのに、どうして心配の必要がないのだろうか?
「別にロータスちゃんの意見をすべて受け入れるわけじゃないもの。あくまで一つの意見として聞くだけよ」
「っ⁉」
王妃様の発言で自分の失敗に気付く。
まだ前世のことを引きずっていたのか、自分がすべてを受け入れられる立場にいると勘違いしていた。
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