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【番外編終了】前世で冤罪をかけられた令嬢は期待しない  作者: 福音希望
第二章 元悪役令嬢は冤罪の元凶に再会する
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2-15 元悪役令嬢は手作りのメリットを聞く

手作りのお菓子をもらえたら、とても嬉しいです。


「手作りのお菓子、良いわね」

「「っ⁉」」


 いきなり声をかけられ、私とレイラ嬢は驚く。

 振り向くと、そこには一人の女性──王妃様がいた。


「驚かせてごめんなさい。でも、貴女たちが興味深い話をしていたから、気になってね」


 申し訳なさそうに王妃様が話す。

 その仕草は年齢の割に可愛らしかった。


「いえ、大丈夫です」

「なら良かったわ」


 私が受け入れると、王妃様は笑みを浮かべる。

 やはり可愛らしい。


「私も昔は手作りのお菓子を作っていたわ。それを当時は婚約者だった陛下に渡していたの」

「王妃様がですか?」


 レイラ嬢が反応する。

 まさか自分と同じようにお菓子を手作りできる人がいると思わなかったのだろう。


「もちろんよ。その当時は手作りのお菓子を渡すのが流行っていて、好きな人に渡すことが多かったわ」

「じゃあ、どうして今はあまり流行っていないんですか?」

「買う方が早いからじゃないかしら?」

「・・・・・・」


 王妃様の答えにレイラ嬢はなんとも言えない表情になる。

 私も同様である。

 身も蓋もない答えである。

 たしかにお菓子作りは時間や手間がかかるが、もう少し言い方はないだろうか?


「でも、手作りにも利点はあるわ」

「利点、ですか?」


 話の流れが変わり、レイラ嬢は反応する。

 王妃様は笑みを浮かべる。


「自分で好きなような味に変えられることよ」

「?」


 レイラ嬢は首を傾げる。

 何を当たり前なことを?──そんな風に思っているのかもしれない。


「渡す人の好みの味にできる、ってことですよね」

「そういうことよ」

「あっ」


 レイラ嬢も気付いたようだ。

 こういう利点があるのなら、手作りのお菓子も良いだろう。


「甘いものが好きならそのまま、苦手なら控えめで作れば良い。相手の好みに合わせて味を調節できるのが手作りの良いところよ」

「なるほど」

「自分の好きな味のお菓子を作ってくれる、きっと相手も好意を持ってくれるはずよ」

「っ」


 レイラ嬢の顔が赤くなる。

 好意を持たれることを想像したのだろう。

 ウブなところがかわいらしい。







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