2-14 元悪役令嬢は励ます
苦手の克服も大事ですが、得意なことを伸ばすのも大事だと思います。
「レイラ様、貴女の得意なことは?」
「得意なこと?」
問いかけにレイラ嬢は首を傾げる。
良く理解できていない彼女へさらに問いかける。
「好きなことでも良いわ。それぐらいあるでしょう?」
「好きなことなんて・・・・・・勉強しかしてこなかったし」
彼女は悲しそうな表情を浮かべる。
実際、いろんなものを犠牲にして努力してきたのだろう。
だからこそ、好きなことなどわからなくなっているのかもしれない。
「何でも良いのよ。ずっと勉強ばっかりじゃないでしょ」
「そんなこと・・・・・・あ」
しつこく食い下がると、レイラ嬢は何かに気付く。
「私、お菓子作りが好きだったわ」
「良い趣味じゃない。それなのに、どうして言わなかったの」
別に恥ずかしがるようなことではないと思う。
むしろ手作りでお菓子を作れるのは素晴らしいことである。
「料理を作るのは使用人や料理人の仕事、貴族らしくないって」
レイラ嬢は悲しそうに告げる。
たしかに、そういう考え方があるのは事実だ。
貴族にとって料理とは作ってもらうものであり、自分で作るのは使用人の真似事だと嘲笑う者もいるだろう。
高位貴族なら尚更である。
「私はそう思わないわ」
「え?」
レイラ嬢は驚く。
私が否定するとは思わなかっただろう。
「料理ができることの何が悪いの? むしろ、料理ができる人の方が素晴らしいじゃない」
「でも、料理は使用人の仕事で・・・・・・」
「レイラ嬢は料理が嫌いなの?」
「そんなことない」
私の質問にレイラ嬢ははっきりと否定する。
ならば、私が言えることは一つである。
「だったら、堂々とすれば良いじゃない」
「っ⁉」
私の一言に彼女ははっとする。
「他の人にはできないことができる、十分な強みのはずよ。そう思ったら、自信がつかない?」
「たしかにそうね」
レイラ嬢は納得してくれる。
これで彼女も自分を卑下することはないだろう。
「今度、作ったお菓子を食べさせてくれない?ぜひ食べたいわ」
「・・・・・・仕方がないわね」
私の提案に彼女は少し考え、受け入れてくれた。
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