2-7 元悪役令嬢は交流をしたくない
「うわぁ、すごい」
会場に入った瞬間、リリーはそんな感想を漏らす。
普段の彼女からは想像できない反応である。
まあ、初めて見たのなら、仕方がないことではあるけど──
「外から見る城もすごいけど、実際に中も見てみるとより実感できるわ」
「たしかにそうね」
彼女の言葉に共感する。
前世の私も同じように驚いた。
やはりお城の凄さは貴族の屋敷と一線を画している。
それは公爵邸でも同じである。
「さて、私は・・・・・・」
「お姉様、どこに行こうとしているのですか?」
いきなり腕を掴まれた。
逃げることができない。
「いや、あっちの方に友達が・・・・・・」
「ほとんど社交しないお姉様に友達なんているはずないでしょう」
「酷いっ」
いきなり暴言を吐かれた。
まあ、事実なので否定はできない。
前世の私には友達──だと思っていた人はいた。
だが、全員が裏切った。
冤罪の半分以上が彼女たちによって行われたものだった。
私が犯罪者扱いされたことをいいことに、その濡れ衣を被せたのだ。
「酷いのはお姉様でしょう。公爵令嬢らしく、少しは社交もしてください」
「面倒よ」
「面倒でも、です。貴族社会で生きていく上で、他家との交流は大事なんですよ」
「わかっているけど、嫌なものは嫌」
私は拒否の姿勢を崩さない。
そんな私を見て、リリーは大きくため息をつく。
「お父様やお母様も何か言ってください」
「まあ、必要だと思ったら、交流するだろう」
「無理にさせるのはよくないわ。ロータスちゃんの気持ち次第よ」
「はぁ・・・・・・」
大人達を味方につけようとしたが、どうやら失敗したようだ。
この二年、二人との交流はしっかりと行った。
適度に甘やかしてくれるようになったので、嫌がることをさせるなんて酷いことはあまりなくなった。
ありがたい話である。
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