2-5 元悪役令嬢はだらしなさを怒られる
「パーティーは面倒だわ」
「不敬ですよ、お嬢様」
文句を言う私にホリーはツッコミを入れる。
でも、事実なのだから仕方がない。
本当だったらサボりたいけど、公爵家の令嬢がそんなことをするわけにいかない。
お父様から関わらないようにする許可を得たのは良かったけど──
「お姉様っ!」
いつの間に近づいたのか、リリーが声をかけてくる。
少し怒っているようだが、なぜだろう?
「どうしたの、リリー?」
「どうしたの、じゃありませんよ。今日はパーティーで着るドレスを決めるんですよ」
「あぁ、なるほど」
彼女の怒っている理由がわかった。
たしかにそんな話があったのは朧気ながら記憶にある。
だが、あいにく私は興味がない。
「別にドレスはいらない」
「いらない、じゃありません」
即座に否定された。
やはり最近のリリーは当たりが強い。
前世では後ろで守られるか弱いタイプだと思っていたのに──
「他にもドレスがあるし、買う必要ないじゃない」
「お姉様はお洋服をほとんど持ってないじゃないですか」
「5着もあるわ」
「5着しか、です」
言い訳をするもリリーは反論してくる。
たしかに少ないかもしれないが、普通に過ごす分には十分な数だろう。
「ドレスだって、去年買ったものですよね? 絶対に着られないです」
「そんなことはないわ。まだまだ入るはず・・・・・・」
「入っても、似合わないです」
「酷い」
リリーに馬鹿にされ、ショックを受ける。
これでもルックスに自信はあるのだけど──
「酷いのはお姉様のだらしなさです」
「これが私の生き方よ」
「すぐに直してください。とりあえず、ドレス選びは決定事項です」
「えぇ~」
嫌そうな表情をするが、そんな私を無視して腕を取られる。
そのままぐいぐい引っ張られる。
痛くないように力は緩めだが、外すことはできなかった。
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