2-3 元悪役令嬢は視線を逸らす
「お父様、第一王子殿下はどんな人なんですか?」
リリーが質問をする。
どうやら殿下に興味を持ったようだ。
前世ではこういう風に集まったときに話はしなかったので、この時点で彼女がこれほどの興味を持っているとは知らなかった。
だが、良い兆候である。
「見た目は整っているし、馬鹿ではない。わがままも子供なら当然か」
思ったよりお父様からの評価が低い。
事実かも知れないが、もう少しオブラートに包めないだろうか?
「旦那様。他に良いところはないのですか?」
「私だって、滅多にお会いしないのだ。まあ、会いたいという気持ちもないがな」
「・・・・・・不敬ですよ」
お義母様は少し呆れた様子である。
しかし、お父様が殿下に良い印象を持っていないのは意外だった。
「でも、王子様なんですよね?」
「ああ、そうだな」
リリーの言葉にお父様は頷く。
流石にそこは否定できないようだ。
「お姉様が選ばれるんじゃないですか?」
「はい?」
急に話の矛先を向けられたので、変な声を漏らしてしまった。
どうしてリリーはそんなことを言ったのだろう。
「お姉様はオラシオン公爵令嬢ですよ。筆頭候補でもおかしくはないと思います」
しっかりとした理由を告げるリリー。
勉強しているおかげか、貴族内の情勢も理解できている。
成長していると思う反面、こういうときには嬉しくなかったりする。
「それだったら、リリーだって同じじゃない」
「私は元平民の公爵令嬢ですよ。お姉様と比べたら、評価が下がります」
「元平民だろうと、公爵令嬢である事実は変わりないわ。私と同じ評価になるべきよ」
少しでも逃げ道ができるように私は反論する。
そうしないと、前世と同じことになってしまう。
「ですが、私では周囲から認められないと思います」
「リリーで認められなかったら、私なんてもっと駄目よ。婚約者らしいことなんてできる気がしないわ」
「お姉様ならできると思うわ。でも、自覚があるならもう少し授業を熱心に受けた方が良いと思うわ」
「・・・・・・善処するわ」
思わぬ反論を受け、私は目をそらした。
周囲からの視線が痛い。
作者のやる気につながるので、読んでくださった方は是非とも評価やブックマークをお願いします。




