2-1 元悪役令嬢はのんびり休む
リリーがオラシオン公爵家に来て、2年の月日が経った。
令嬢らしい生活にも慣れてきたのか、以前のように手間取ったりはしなくなった。
勉強についてもいろいろと手助けをしたので、同年代──いや、少し上の世代でも通用するレベルになっているはずだ。
最近では私の手助けも不要になってきている。
そのおかげで──
「ふわぁ、今日も良い天気ね」
私ののんびりする時間が増えた。
木陰で横になって休んでいた。
「お嬢様、だらしないですよ」
そんな私を見て、ホリーが注意してくる。
この2年の間で彼女の小言が増えてきた。
もちろん、私のことを嫌っていないことはわかっている。
彼女としては主人である私にしっかりとして欲しいのだろう。
「休んでいるときぐらい良いじゃない」
「最近、その休んでいるときが多いと思いますけど?」
「それぐらい余裕があるってことよ」
横になったまま、私は言い訳をする。
しかし、ホリーもまったく引かない。
「最近、お嬢様よりリリーお嬢様の方が公爵令嬢らしい、ともっぱらの噂ですよ。本当の公爵令嬢はリリーお嬢様なんじゃないか、って」
その噂については聞いている。
リリーの方が評価されている。
私の望んでいる状況である。
「まあ、次期公爵候補だった叔父の娘だからね。教育を受けたら、しっかりと評価をされるわ」
「お嬢様は最初から公爵家で産まれ、教育を受けていましたよ」
「・・・・・・それは置いておくとして」
「置かないでください」
ホリーにツッコまれる。
やはり最近の彼女は厳しい。
私のことを敬っているのかすら怪しい気がする。
「そんなことでどうするんですか? もうすぐ王子殿下の誕生会があるんですよ」
「わかっているわ・・・・・・はぁ」
彼女の言葉に私は大きくため息をつく。
その発端は1週間前──公爵家に届いた一通の手紙が原因だった。
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