1-18 元悪役令嬢は義母に感謝される
「ロータスちゃん、ありがとう」
「何がですか?」
リリーに助言をした数日後、私はお義母様とお茶会をしていた。
なぜか感謝の言葉を告げられ、理由がわからずに首を傾げた。
「リリーに勉強を頑張る方法を教えてくれたんでしょう?」
「ああ、そのことですか。姉として当然のことです」
特別なことをしたつもりはない。
なので、感謝されるほどのことではないと思っていた。
「リリーにとって良い姉ができて、私も嬉しいわ。この関係はあの娘にとって、とても良いことだわ」
「そこまでですか?」
お母様の言葉に私は怪訝に思う。
流石に言い過ぎじゃないだろうか?
「私も主人も娘が可愛くて、厳しく躾けることはできなかったわ。少し自由に育て過ぎたわね」
「それにしては聞き分けは良いと思いますよ」
リリーの姿を思い浮かべる。
たしかに少し自由奔放なところもあるが、決してわがままではない。
「興味があることなんかは自分からやってくれるわ。でも、苦手なことからは逃げようとするはずよ。勉強とかね」
「ああ、なるほど」
たしかに勉強に対して苦手意識を持っていたのかもしれない。
あの疲れた感じが続けば、逃げていた可能性があったわけだ。
「ロータスちゃんはリリーにとって、良いお手本になっているわ。そういう存在がいれば、あの娘が間違った道に進む心配もないわね」
「・・・・・・」
お義母様は嬉しそうに言うが、私はなんとも言えない表情になる。
別に前世の私は間違った道に進んだつもりはない。
だが、冤罪とはいえ結果として獄中死したのだから、何らかの間違いがあったのだと思う。
そんな私がリリーの見本になって良いものだろうか?
「ロータスちゃんにとっても良いことだと思うわ」
「私にとっても、ですか?」
突然の言葉に驚く。
どういうことだろうか?
「教えることで自分の理解を高めることができるし、逆にリリーから学ぶこともできると思うわ。それがロータスちゃんの糧になるはずよ」
「・・・・・・なるほど」
お義母様の言葉に私は少し考えて納得する。
たしかに私へのメリットもあるようだ。
不安もあるけれど、手本になることは悪くないかもしれない。
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