1-18 元悪役令嬢は義妹のやる気を引き出す
目標はまず簡単なことから、ですね。
「王妃にふさわしくない、と思われる?」
「ええ、正解よ」
「やった」
私が手で丸を作ってあげると、リリーはガッツポーズをする。
令嬢らしくはないが、可愛らしい。
「付け加えると、王妃にふさわしくないから周囲に引きずり下ろされる可能性が高くなるわね」
「・・・・・・それは怖いね」
リリーの表情が硬くなる。
流石に脅かしすぎただろうか。
このままではまずいと思い、話を戻す。
「そうならないために勉強しないとね」
「別に王妃になりたいわけじゃないよ」
「っ⁉」
反論に思わず驚いてしまう。
現在の彼女は王妃になりたいと思っているわけではない。
前世の記憶の中にある彼女だと思って押しつけて締まったのかもしれない。
あれ・・・・・・前世でもリリーは王妃になろうとしていただろうか?
「お姉ちゃん、どうしたの?」
「え、ああ、大丈夫よ」
目の前にリリーの可愛らしい顔が現れる。
また彼女を不安にさせてしまったようだ。
「とりあえず、目標を決めれば、勉強を頑張ろうと思うはずよ」
「でも、目標なんて考えたことないよ」
「別にそんな難しく考える必要はないわ。まずは「今日学んだ内容を完璧にする」とかすぐにできる内容でも良いわ」
「その勉強が難しいんだけど・・・・・・」
リリーは不貞腐れる。
そもそも勉強の目標にその内容の達成にするのは良くないのかもしれない。
ならば──
「「今日の内容を完璧にマスターしたら、夕食に好きなデザートを食べられる」なんてどうかしら?」
「え、いいの?」
リリーは途端に嬉しそうな表情になる。
彼女はとても甘いものが好きである。
可愛らしい彼女に周囲の人間が甘いものを与えていた。
しかし、それはすぐにクレアに禁止されていた。
流石に高級なものをたくさん食べるのはいろんな意味でよくないと思ったのだろう。
「お義母様の許可を得られたらね。リリーが勉強を頑張れば、1日1個ぐらいは許してくれるはずよ」
「う・・・・・・頑張る」
母親に怒られたときのことを思い出したのだろう、リリーは不安げな表情になる。
だが、大好きな甘いもののために頑張ろうと決意したようだ。
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