1-16 元悪役令嬢は義妹に目標の大事さを伝える
目標の設定って大事だと思います。
「はぁ・・・・・・難しい」
リリーが机に突っ伏し、大きくため息をつく。
公爵家に来てから1ヶ月、まだまだ貴族令嬢としてのマナーが身につくはずがない。
しかし、流石に注意しないわけにはいかない。
「まだ基礎的な内容よ。いずれはもっと難しいことを学ばないといけないわ」
リリーは私と一緒に教育を受けることになった。
私は先に学び始めてはいたが、一緒に勉強することで効率が上がるだろうということでこのようになった。
だが、つい最近まで平民だった彼女に貴族としての勉強は難しかったようだ。
「お姉ちゃんはどうしてこんな勉強ができるの?」
純粋な視線でリリーがこちらを見てくる。
基礎の内容だからとか、前世で既に一度学んだとかも理由ではあるが、流石にそんなことを彼女には言えない。
前者はやる気を失わせ、後者は私の正気が疑われる。
なら、私が伝えるべきは・・・・・・
「目標を持っているからかしら?」
「目標?」
リリーが首を傾げる。
流石にこれだけではわからなかったか。
「リリーは将来したいことはあるかしら? 夢でも良いわ」
「えっと・・・・・・素敵な人のお嫁さんになりたいっ!」
質問にリリーは勢いよく答える。
どういう理由で答えたのかはわからないが、良い夢だと思う。
「じゃあ、その素敵な人を王子様と仮定しましょうか?」
「え? そんなの無理だよぉ」
「そんなことはないわ。リリーはとても可愛らしいし、公爵令嬢になった。王子様のお嫁さんになるのに条件は十分よ」
「そうかな?」
流石に想像できないのだろう。
平民の感性が王子様との結婚に繋がらないのだろう。
まあ、今はそれでいい。
「王子様と結婚したら、いずれはこの国の王妃様になる可能性が高いわ。これはわかるかしら?」
「うん。王子様がいずれは王様になるからだよね」
流石にリリーもそれぐらいはわかるようだ。
前世でも決して頭が悪くはなかったから当然ではある。
「もし王妃様が勉強のできないお馬鹿さんだったら、周りの人はどう思う?」
「え?」
私の質問にリリーは少し驚く。
そして、顎に手を当て、考え始める。
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