1-14 元悪役令嬢は義妹に洋服をあげる
「わぁ、可愛いっ! お姫様みたいっ!」
着飾ったリリーが嬉しそうにしている。
着ているのは私の洋服である。
全身を確かめるように鏡の前に立ったり、くるくると回ったりする。
そこまで喜んでもらえたら、あげた甲斐がある。
「本当に似合っているわね」
私も純粋な感想を口にする。
こんな服もかわいらしい彼女にこそ似合っている、思わずそう思った。
「でも、いいの? こんなに良さそうな服をもらって」
「いいのよ。似合うリリーが着てくれた方が服にとっていいもの」
心配気な彼女に私は笑顔で答える。
もちろん、これは本心からの言葉である。
今の私には前世の記憶がある。
そのせいで思考は18歳の令嬢であり、趣味嗜好もそれに準じたものである。
つまり、5歳の公爵令嬢の服は流石に可愛すぎる。
私の趣味には合わないのだ。
「ホリー」
「はい」
近くにいたホリーに声をかける。
「これとこれ、あとはこれ以外の洋服をリリーの部屋に持って行って」
「かしこまりました」
私の命令に何も言わず、ホリーは受け入れる。
むしろ驚いたのはリリーの方だった。
「お姉ちゃんっ! どういうことですか?」
慌てた様子のリリーが詰め寄ってくる。
流石にいきなり過ぎただろうか?
「何がかしら?」
「どうしてあんなにお洋服をくれるのですか?」
「もちろん、姉から妹へのプレゼントよ」
慌てる彼女に笑顔で答える。
それ以外の答えはない。
「明らかに多すぎます。というか、今度はお姉ちゃんの服が少なすぎます」
「まあ、そうね」
結果として私の洋服は3着になってしまった。
公爵令嬢としては明らかに少なすぎる。
だが、これには理由がある。
「でも、私は簡単にお洋服を買うことができるわ」
「それは私も同じで・・・・・・」
「平民の感性の貴女がすぐに買えるの?」
「う・・・・・・」
私の指摘にリリーは言葉を詰まらせる。
彼女はまだ公爵令嬢になったばかりである。
性格も悪くない彼女が今までの生活水準から外れた無駄遣いをするはずがない。
というわけで、私は服を譲ったのだ。
「では、お姉ちゃんは新しい洋服を買うんですね」
「ええ、そうよ」
「・・・・・・ありがたくもらいます」
笑顔で答える私を見て、彼女も受け入れてくれる。
これで一安心である。
彼女が受け入れてくれないと、私の計画は進まないのだから──
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