1-9 元悪役令嬢は再び新しい家族に出会う
数日後、屋敷に来客が二人あった。
その二人の姿は記憶にある通りだった。
少しやつれているが美人だとわかる母親と儚げな雰囲気の美少女だった。
前世の私はこの二人に嫉妬してしまったのだ。
「ようこそ、オラシオン公爵家へ。私は当主のレザンだ」
父は笑顔で二人に声をかける。
普段は笑顔を浮かべない父のこの表情も前世の私は嫌だった。
私には向けたことがないのに、と思っていた。
「この度はありがとうございます。私はどのような仕事でもするので、娘だけは・・・・・・」
母親は頭を下げ、お父様に懇願する。
後妻になるはずなのだが、どうしたのだろうか?
「何か勘違いしているようだが、君のことは私の妻として迎える予定だ。当然、子供も娘として迎える」
「えっ⁉」
父の言葉に母親が驚きの声を上げる。
まるで予想外といった反応である。
「む?」
父も怪訝そうな表情になる。
その反応を見て、母親は不安げな表情になる。
「私はこの屋敷の元メイドで平民ですよ? そんな女を妻──公爵夫人として迎えるのは分不相応だと思うのですが・・・・・・」
彼女は不安の理由を口にする。
たしかに言うとおりである。
彼女の立場では公爵夫人になることなど難しい。
「そんなことを私は気にしない」
「いえ、世間が許さないのでは・・・・・・」
「言いたい奴には言わせておけば良い。それよりも私は兄との約束を守ることを優先する」
反論も意に介さず、父は自分の意見を押しつける。
言いたいことはわかるのだが、それはどうなんだろうか?
早くも心配になってきた。
20bm、60ptを超えてました。
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